工場統計力学（建設中！）

ロットサイズとキュー時間の関係（セットアップを考慮しない場合）

ファブ内物流の論理を求めて

「ロットサイズとキュー時間の関係」の最後で、まずはセットアップを考慮しない場合に限定して、ロットサイズとキュー時間の関係を調べることを宣言しました。そして、「ロットサイズとteの関係（セットアップを考慮しない場合）」「ロットサイズとCeの関係（セットアップを考慮しない場合）」「ロットサイズとCaの関係」で、実際の検討を行いました。ここでは、上記で検討した結果をまとめたいと思います。

まずロットサイズとteの関係ですが、これは、
- - ただし、
  - $t_0$ ：ロットのタクト時間
  - $t_{0W}$ ：ウェハ１枚のタクト時間
  - $k$ ：ロットサイズ
という結果になりました。

次にロットサイズとCeの関係ですが、これは、
- - ただし、
  - $c_e$ ：ロットのタクト時間の変動係数
  - $c_{eW}$ ：ウェハ１枚を処理するタクト時間の変動係数
という結果になりました。

最後にロットサイズとCaの関係ですが、これは、
- ロットサイズに依存せずに１に近い値
と推定しました。

これらをWhittの近似式に代入すると
- $CT_q=\left(\frac{c_a^2+c_e^2}{2}\right)\frac{u^{sqrt{2(m+1)}-1}}{m(1-u)}t_e=\left(\frac{1+c_{eW}^2/k}{2}\right)\frac{u^{sqrt{2(m+1)}-1}}{m(1-u)}kt_{0W}$
- $=\left(\frac{k+c_{eW}^2}{2}\right)\frac{u^{sqrt{2(m+1)}-1}}{m(1-u)}t_{0W}$
よって、ロットサイズ $k$ を小さくするとキュー時間 $CT_q$ も小さくなることが分かります。ただし、キュー時間 $CT_q$ はロットサイズ $k$ に比例してはいません。

議論の継続

次に、セットアップを考慮した場合はどうなるかを検討します。「ロットサイズとキュー時間の関係」では、そのためには
- 装置の利用率 $u$
- 平均実効処理時間 $t_e$
- ジョブの到着間隔の変動係数 $c_a$
- 装置処理時間の変動係数 $c_e$
のそれぞれとロットサイズの関係を調べる必要があると述べました。
- ロットサイズと装置の利用率 $u$ の関係については「ロットサイズと装置の利用率uの関係（セットアップを考慮した場合）」を参照下さい。
- ロットサイズと平均実効処理時間 $t_e$ の関係については「ロットサイズとteの関係（セットアップを考慮した場合）」を参照下さい。
- ロットサイズとジョブの到着間隔の変動係数 $c_a$ の関係については「ロットサイズとCaの関係」を参照下さい。
- ロットサイズと装置処理時間の変動係数 $c_e$ の関係については「ロットサイズとCeの関係（セットアップを考慮した場合）」を参照下さい。