満州帝国(Ⅱ) 児島襄

満州帝国 (2) (文春文庫 (141‐14))

満州帝国 (2) (文春文庫 (141‐14))

この本は、1931年から1944年までを扱っています。もう少し、各章の扱っている時間を調べて見ると以下のようになります。

  • 錦州陥落 1931年11月〜1932年1月
  • 新生国家への道 1932年1月〜6月
  • 満州帝国の誕生 1932年7月〜1934年3月
  • 満州開発 1934年8月〜1940年2月
  • 建国神廟鎮座祭 1940年6月〜7月
  • 建国十周年 1940年7月〜1942年11月
  • 昭和十九年前後 1943年2月〜1944年10月

特に「満州開発」のところで6年も時間が過ぎているのが目につきます。私にはこの本が満州国の最初と最後だけに重点を置いているように見えます。これは(この本を出版した当時の)日本人が興味を持っているのが、「どうやって建国したのか」と「どのように滅亡したか」の2点がほとんどではなかったからではないか、と思います。
そしてまさにそこがこの本の弱点ではないか、とも思います。本当はそこにこそ満州国を、肯定的であれ否定的であれ、どう評価すべきかの基礎材料があるはずです。