いろいろな課題

昨日「サイクルタイム短縮のためには」を書いた時に、ここにはさまざまな問題が積み残しになっているなあ、と感じました。それを解決することは私には容易そうには見えないのですが、まずは、それをリストアップすることから始めようと思います。

ゴールドラットTOCのDBR(ドラム・バッファ・ロープ)の原理をFactory Physicsの立場から理論付けること。

ロットの到着間隔分布が独立であるという待ち行列理論の仮定が、現実のラインとは合わない

M/M/の場合、ロットの到着間隔の分布は、独立であると仮定されています。つまり、ロット1がステーションに来て、その次にロット2が来て、その次にロット3が来たとして、ロット1とロット2の間隔とロット2とロット3の間隔は独立である、としています。ところが現実のファブではそのようなことはないのではないでしょうか? つまりボトルネックのところにあまり多くのWIPが溜まった場合、そのラインに新たにロットをラインへリリースするのを控えるのではないでしょうか? 人間はラインの状態を見てロットのラインへのリリースを調整するので・・・

そもそもボトルネック・ステーションがあちこちに移動する場合はどうするのか?

  • ボトルネック・ステーションがあちこちに移動する場合、その原因が製品ミックスの変化によるものなのか、装置のダウンによるものなのか、原因の調査が必要だと思います。それから、製品ミックスの変化にしろ、装置のダウンにしろ、それらの変化の度合いとその頻度の関係を把握することが必要ではないか、と思います。そしてその変動を減らすことが出来るかどうか検討します。無責任と思われるかもしれませんが、あまりに変動の激しいラインはそれなりのパフォーマンスしか出せないと思います。それはまさにFactory Physicsにおける法則(変動)
    • 変動の増加は常に製造システムのパフォーマンスを悪化させる。
  • そのものだと思います。ただ、変動が製品ミックスの変動からくる場合APSを使って改善が出来るかもしれません。「ボトルネックのスケジューリングにはスケジューラを使え?」にそのことを少し書きました。

c_eを減らすためにセットアップ回数を減らす、ということの、メリットとデメリット

c_aを減らすために、前工程ステーションc_d(ロットの出発間隔の変動係数)を小さくすることについて。

  • 半導体ファブのような、あるステーションの前工程ステーションが複数ある場合、その複数あるということ自体がc_aを1に近づけます。(これについては「さまざまな装置群から来るジョブのCaについて」で少し検討しました。)それを1より小さくする方法はちょっとないのではないかと私は思っています。つまり、c_aを小さくせよ」という要請は、前工程ステーションが1個か2個のような場合には意味があるが、もっと多い場合には無理な要請だと私は思っています。

以上が、今、私が気づいている積み残し事項です。