処理時間のオーバーラップがある場合のロードポートネック
「ロードポートネック」では、「装置でのロットの処理時間にオーバーラップがない」という仮定を置きました。今度は、この仮定を取り除いた場合を含むようにロードポートネックの判定式を拡張したいと思います。ロードポートネックの判定式は「キャリア交換時間CET」ですでに拡張された、
- ならば
- ならば
をさらに拡張することにします。オーバーラップしない処理時間、つまりタクト時間をと再定義します。そしてオーバーラップする処理時間(これを「オーバーラップ処理時間」と呼びます。「ステーション・サイクルタイムの構成要素」参照)をで表すことにします。そうすると、例えばロードポート数が2の場合のガントチャートを書くと以下のようになります。
これらからはに加算されるように作用することが見てとれます。よってロードポートネックの判定式は
- ならば
- ならば
となります。ただしここで装置の利用率としてはオーバーラップしない部分の利用率を採用し、はその利用率の最大値を意味しています。上の図のうち「ロードポートネックになる場合」の絵は、装置全体として見れば確かに100%の利用率になっていますが、その装置のキャパシティを使い切っていない、という意味で、ロードポートネックが発生している、と定義づけしました。
これで、ロードポートネックの判定式を、処理時間にオーバーラップのある装置にも拡張することが出来ました。
この式から言えることのひとつは、
- もしならば、どんなにキャリア交換時間を小さくしてもロードポートネックになる。
あるいは
- もしならば、ロードポートネックの原因は搬送システムではない
ということです。装置のモデルをウェハ処理をベースにしたものに修正して考えると、上の意味するところは、よりよく分かると思います。それについては「枚葉装置モデルにおけるロードポートネック」を参照下さい。