搬送時間ありG/D/1のサイクルタイム定理の拡張の試み。

搬送時間ありG/D/1のサイクルタイム定理。CET=TU+TL、TUとTLは一定 の場合」ではCET=TU+TL でしたが、その制約をはずして同じような定理が成り立つかどうか調べます。
まず「【前提】」はそのまま使えます。
次に、「【定理1】」もそのまま使えます。
次に、「【定理2】」もそのまま使えます。
【定理3】は、以下のように修正します。

【定理3a】CET{\le}t_e(LP-1)の場合、M2でロットlが「かたまり」の先頭のロット(「かたまり」の長さが1の場合も含む)であれば、S'_l=A_l+TLである。またロットlはロードポート上での待ちはない。

(証明)

  • l=1の場合は明らか。以下、l>1の場合を証明する。
  • M2でロットlが「かたまり」の先頭のロットであるので、[tex:E'_{l-1}
  • 次に、ロットlにキューでの待ちがあったかどうかを調べる。もし、キューでの待ちがあったとすると、その後、搬送が「完了した」のは装置の1つのポートが処理終了してCETが経過してからである。ところでこの搬送にはTLだけ時間がかかるので、よって、搬送が始まったのはそのポートが処理終了してCET-TLが経過してからである。この時点で装置の他のポートはみな処理終了以前であるはずである。さもなければ、ロットlはもっと早く搬送が始まっていたはずだからである。よってこの時点で装置のある1つのポートについてはロットの処理が始まってCET-TLが経過しており、処理の残り時間はt_e-CET+TLである。その他の装置ロードポート上のロットの数はLP-2個であり、各々の処理時間はt_eである。よって、これら計LP-1個のロットの処理がすべて完了するのは
    • (t_e-CET+TL)+t_e(LP-2)=t_e(LP-1)-CET+TL
  • 後である。
  • 一方、ロットlは、CET-TLが経過した時点からTL後に搬送が終了し、そのまま処理が開始されるから、処理開始はTL後となる。
  • ところが、CET{\le}t_e(LP-1)であるので、TL{\le}t_e(LP-1)-CET+TL。よって、ロットlの処理開始がロットl-1の処理終了より以前になる。これは矛盾であるから、ロットlにキューでの待ちはない。
  • ロットlにはキューでの待ちもロードポートでの待ちもないので、S'_l=A_l+TL

(証明終わり)
このように書き直していくと、「搬送時間ありG/D/1のサイクルタイム定理。CET=TU+TL、TUとTLは一定 の場合」の一種の拡張が可能になると思います。

議論の継続

搬送時間ありG/D/1のサイクルタイム定理。CETとTUとTLは一定 の場合」から、そのような書き直しを始めます。