「搬送時間ありG/D/1のサイクルタイム定理。CETとTUとTLは一定 の場合」から、以下のようなことが言えます。
系1
- もし、元々ロードポートネックになっていない装置あれば、その装置に関する搬送時間短縮のサイクルタイムに対する効果は、その短縮分だけである。
- これはまず、ロードポートネックになっていないのでです(「キャリア交換時間CET」参照)。上記定理から、この時のこの装置のサイクルタイムは、搬送時間、が共にゼロの時のサイクルタイムに単純にを加えたものになります。よって、搬送システムを改善してやを短縮すると、そのことによるサイクルタイムの改善分(短縮分)は、の改善分(短縮分)に等しいことが分かります。
- もちろん、ロードポートネックになっている装置であれば、搬送時間、を改善することにより、ネックの状況が緩和されるので、サイクルタイムの改善分はの改善分より大きくなります。
- たとえば、ロードポートネックによって、搬送と装置を含めた全体のキャパシティが、その装置を通過することを要求されている量(スループット)より、ほんの少し大きいだけであるならば、待ち行列理論より、その時のサイクルタイムは非常に大きいことが分かります。そのような場合に、搬送システムを改善することによって、搬送と装置を含めた全体のキャパシティを少し大きくすることが出来れば、サイクルタイムは劇的に小さくなることが予想出来ます。
- 上記で言いたいことは、既にロードポートネックではない装置に対して搬送時間を改善しても、その効果を過大に期待してはいけない、ということをです。既にロードポートネックではないのですから、装置を利用率100%まで使用することを搬送システムは妨げません。既にそのような状態になっているところで、搬送時間を短縮しても、それによって装置の利用率が高くなる、ということはありません。
- ここまで書いてしまうと、「現実と合わないではないか」という声が聞こえて来そうです。注意しなければならないのは、対象としているモデルが非常に理想化されたモデルである、ということです。特に現実には往々にして搬送時間は一定ではありません。そのような場合に、この定理がどのようになるのかが問題です。この問題についてはのちほどトライしたい、と思っています。
- これはまず、ロードポートネックになっていないのでです(「キャリア交換時間CET」参照)。上記定理から、この時のこの装置のサイクルタイムは、搬送時間、が共にゼロの時のサイクルタイムに単純にを加えたものになります。よって、搬送システムを改善してやを短縮すると、そのことによるサイクルタイムの改善分(短縮分)は、の改善分(短縮分)に等しいことが分かります。
系2
- もし、元々ロードポートネックになっていない装置あれば、ロード動作とアンロード動作を並行させることによってキャリア交換時間を短縮しても(「キャリア交換時間CET」参照)、サイクルタイムは改善しない。
- これはサイクルタイムの式が
- となっていて、式にが入っていないことから明らかです。
- ではキャリア交換時間の短縮は、何を改善するのでしょうか? それはロードポートネックになる条件を緩和しています。ロードポートネックにならない条件が、 なので(「キャリア交換時間CET」参照)が小さければ小さいほど、装置はロードポートネックになりにくいのです。
- これはサイクルタイムの式が
まとめ
以上のようなことが上記の定理から言えますが、この定理の前提はかなり現実からかけ離れています。まず、装置が1台だけのステーションであることが気に入りませんし、装置の処理時間が一定である(G/D/1のD「ケンドールの記号」参照)のも気に入りません。そして、もも本当は、確率的に変化する変数です。よって、も同様な変数になります。このような制約をどこまではずせるか、少しずつ地道に、考察していきたいと思います。
- まず、搬送時間が変動する場合について「搬送時間が変動する場合のロードポートネック」で検討します。