- 作者: 樺山紘一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/01
- メディア: 新書
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前書きによれば、
本書は、もとはといえば、『ベートーヴェン全集』(全10巻、講談社、1997〜2000年)に連載した同名の既発表稿にもとづいている。
ということで、著作の意図を以下のように述べています。
ベートーヴェンにとって英雄とは実在する観念であった。それがよし、ナポレオンという固有名詞でないにせよ、いずこかに探索しうる偉大な人格の代名詞であることは、否定しえない。18世紀から19世紀にかけてのヨーロッパにおいて、いったいどうして、英雄は鮮烈なリアリティでありえたのか。しかも、ナポレオンに蹂躙され、みずからの自前の代表者をもちえないドイツの市民たちにとってすら、アクチュアルな問題意識の対象でありえたのか。
わたしたちは、これからひとりのドイツ人作曲家ベートーヴェンを道連れとして、その英雄の時代にわけいってみたいと考えている。その道程は、さしあたりはベートーヴェンにまつわる事情をさぐりつつ、この巨大な古典派作曲家の生涯をたどることになろう。けれども、その意図はといえば、ベートーヴェンの幅広の傘のもとで展開した、同時代の急激なうねりの実相を解明したいとの戦略を実践することにある。
私はベートーベンが好きですが、よい愛好家ではなく、子供の時に交響曲第九番を聞いてからずっとそれだけを大切にしている、といった人間です。ベートーベンの生涯がどうだったのかもあまり知りません。それゆえこの本をよく理解出来ていないかもしれません。ナポレオンとベートーベンのほかには、(ナポレオンを「馬上の世界精神」と呼んだ)哲学者ヘーゲルと文豪ゲーテが主な登場人物です。
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