2種類のディスパッチング
「半導体ファブ内での利用率とサイクルタイムの関係」での議論を続けます。
の構成でのロットの動きを実現するためには、ある時点でロットをロードポートに割り付ける必要があります。これをディスパッチングと呼びます。ディスパッチングには
- 装置がロットを選ぶ
- ロットが装置を選ぶ
の2種類があります。
ストッカで待っているロットの場合は、全ての装置の全てのロードポートが詰まっているので、どれかロードポートが空けば、そのロードポートへロットを割り付けることになります。ストッカで待っているロットが複数あるのであれば、その中から1つのロットを選ばなければなりません。ロードポートが空いた装置がストッカ内に複数あるロットのうち1つを選ぶことになるので、これは装置がロットを選ぶディスパチングになります。ここではFIFO(First In First Out。先にストッカに到着したロットが先に選ばれる)のディスパッチングルールを採用することにします。
次にストッカで待っているロットがまったくなく、ロードポートの空いている装置が複数台ある状態の時に、前工程からストッカに1ロットが到着した場合を考えます。すると、このロットはただちにどれかの装置に向かわなければなりません。候補となる装置は複数台あるので、これはロットが装置を選ぶディスパッチングになります。ここでは以下のルールを採用することにします。
- 最も待ちロット数の少ない装置に割り当てる。
- 最も待ちロット数の少ない装置が複数台存在する場合は、現在処理中のロットの処理開始時間が最も古い装置を選択する。
- 空いている(ロットを処理していない)装置が複数台存在する場合は、予め決められた優先順序で装置を選択する。
議論の継続
「TUとTLとCET」に続きます。