Factory Physicsは何であるか?

本「Factory Physics」では、最後に「Factory Physicsは何であるか」「将来それから何を我々は期待できるか」について述べて、この本を閉じています。それを要約して紹介します。

  1. Factory Physicsは製造の科学のための出発点である。
    • 製造管理者がどちらの方針が効果的かを判断することを可能にするためには製造の科学が必要である。この本は製造の科学を開発することにおいて完成にはほど遠い。しかし、少なくとも我々は諸問題を正しい文脈に枠付けてきたと感じている。
    • 製造システムは複雑でさまざまなので、あるシステムは疑いもなく、我々がこの本で記述しなかったタイプの振る舞いを示す。製造科学の進歩が製造管理を単なる解析の演習にすることを可能にすることはけっしてないが、我々の希望はそれがより科学(ただし人間的要素の強い科学)になることであって、ファッションのような原則を持たない流行にはならないことである。
  2. Factory Physicsは、基礎、直感、総合、を伝える教育の枠組みである。
    • 基礎:さまざまな条件における工場の振る舞いの精密な記述を与えるためのツール(例えば、統計、待ち行列理論、信頼性)としてFactory Physicsは役立つ。
    • 直感:健全な直感は、最も効果的な改善箇所に製造管理者が自分の注意を集中することを可能にするたぶん唯一の最重要なスキルである。Factory Physicsの諸原則を理解しそれらに関する経験した観察を解釈できるマネージャは、これらのスキルを持たないマネージャよりずっと迅速にシステムの振る舞いについての洞察を得るだろう。
    • 総合:製造システムは複雑で、多くのさまざまな工程、人々と装置、複数の目的を含むさまざまな面をもった組織である。製造システムの一般的な記述を提供することにより、Factory Physicsは外部の変更が工場の振る舞いにおよぼす影響を評価するための手段を我々に与える。
  3. Factory Physicsは、製造のプロセス観点とシステム観点の間の関係づけを行う。
    • プロセス観点:ロボティクスや表面処理や研削や射出成形といった製造に関係する特定のプロセスに注目する。
    • システム観点:スケジューリングや仕掛制御や製造計画といった、システムに注目する。
    • Factory Physicsは、プロセスの変更をシステムの用語で解釈するための手段を提供する。
  4. Factory Physicsトレードオフを数量化するためのツールの集合である。

コメント

私が今までこのブログでやってきたのは、Factory Physics半導体ファブに適用する際に拡張すべき点を少ないながら、いくつか考察してきたことだと思っております。上記に

製造システムは複雑でさまざまなので、あるシステムは疑いもなく、我々がこの本で記述しなかったタイプの振る舞いを示す。

と書かれていますが、私がこのブログで述べたロードポートネックトラップは本Factory Physicsが記述しなかったタイプの振る舞いです。