ロードポートネック判定を現実に適用する時の困難

ロードポートネック」ではロードポートネックという現象について述べました。そこではロードポートネックは装置のキャパシティを悪化させるので、避けるべきだ、ということを述べました。そしてどのような条件ならばロードポートネックになり、どのような条件ならばロードポートネックにならないか、についてはロードポートネックの判定式(teとCETが変動する場合)で述べました。つまり

ここでCETキャリア交換時間であり、CET_{max}キャリア交換時間の最大値です。


しかし、実際にはキャリア交換時間が下のグラフのような分布としていることがよくあります。

その場合、CET_{max}としてどこの値を採用すればよいでしょうか? 厳密に言えば、CETがどこまで大きくなってもその発生確率は(ごく小さい値であれ)ゼロではないので、CET_{max}は無限大、ということになってしまいます。すると、どんな時でもロードポートネックが発生し、私たちはこれを避けることが出来ない、という結論になってしまいます。


しかしこの結論は極端です。CETが大きな値になる確率がごく小さいのであれば、実質的には装置のキャパシティの悪化はごくわずかになると予想出来ます。そうすると、私たちに必要なのは、厳密にロードポートネックが発生するかどうかを判定する式ではなく、たとえば上のグラフのようなCETの分布が与えられた時に装置のキャパシティの悪化の度合いを見積るための式であることが分かります。
しかし、これは実は(少なくとも私にとっては)非常に難しい問題です。
そこで、装置のキャパシティの悪化の度合いを正確に見積るのはあきらめて、近似的に求める方法はないか、を今回検討しました。それをこれから述べていきます。「ロードポートネックによるキャパシティ悪化の近似式」に続きます。