これは「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(2)」の続きです。
M/M/mにおける待ち時間の式の導出(2)では、定常状態での各状態の確率が求まりました。ここから、待ち行列に並んでいるロットの数の平均、すなわち行列の長さの平均を求めることが出来ます。待ち行列に1個ロットが並んでいる状態はすなわち、台の装置が皆ロットを処理していて、さらに待ち行列に1個ロットが並んでいる状態ですからその確率はになります。同様に考えて、待ち行列に個ロットが並んでいる状態の発生確率はになります。よって、行列の平均の長さは
- ・・・・・・(15)
で与えられることになります。式(15)に式(12)を代入して
- ・・・・・・(16)
ここで
- ・・・・・・(17)
とおくと
- ・・・・・・(18)
よって式(17)の両辺から式(18)の両辺を引くと
よって
これを式(16)に代入して
よって
- ・・・・・・(19)
これで行列の平均の長さが求まりました。
次に平均待ち時間を求めるために、リトルの法則
を利用します。(平均WIP)にあたるのがです。求めたいのは平均待ち時間ですが、これは(平均サイクルタイム)にあたります。(平均スループット)にあたるのは、M/M/mにおける待ち時間の式の導出(1)での議論
さらに、ロットの到着間隔は装置の利用率と反比例しますから
となります。
を思い出し、(平均スループット)は到着間隔の逆数であることを考慮すれば、
となります。リトルの法則から
となりますので、
ここに式(19)を代入すれば、
- ・・・・・・(20)
- ただし
- ・・・・・・(14)
これでM/M/m待ち行列の待ち時間の式を導出することが出来ました。