M/M/mにおける待ち時間の式の導出(2)

これは「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(1)」の続きです。
今度は、状態1と状態2の関係を考えてみます。同様に式(2)と(3)を用いると下図のような結果になります。(状態2ではロットを処理している装置が2台なので、式(2)でi=2になることに注意)

ところが、前回の説明で

  • p_1\frac{dt}{t_e}=p_0\frac{mudt}{t_e}

であることが判明していますので、p_1が一定であるためには今度は

  • 状態2→状態1の遷移確率 と
  • 状態1→状態2の遷移確率

が等しくなければなりません。よって

  • p_2\frac{2dt}{t_e}=p_1\frac{mudt}{t_e}
  • p_2=\frac{mu}{2}p_1・・・・・・(7)

以下、同様に考えれば、[tex:0{\le}i

  • p_{i+1}=\frac{mu}{i+1}p_i・・・・・・(8)

になります。i{\ge}mの場合は、状態i+1であっても装置の台数はmですから、同時に処理している装置台数はmのままです。

よって、i{\ge}mの場合は

  • p_{i+1}=up_i・・・・・・(9)

式(8)から[tex:0{\le}k

  • p_k=\frac{(mu)^k}{k!}p_0・・・・・・(10)

が導かれます。さらにk=mの時は(10)と(9)から

  • p_m=\frac{(mu)^m}{m!}p_0・・・・・・(11)

さらにk{\ge}mの時は(9)と(11)から

  • p_k=\frac{(mu)^m}{m!}u^{k-m}p_0・・・・・・(12)

が導かれます。
さて、ここでp_0の値が分かれば全てのp_kの値が分かります。p_0の値を求めるには全確率の公式

  • \Bigsum_{k=0}^{\infty}p_k=1・・・・・・(13)

を用います。(13)の左辺に、式(11)と(12)を入れると

  • \Bigsum_{k=0}^{\infty}p_k=\Bigsum_{k=0}^{m-1}p_k+\Bigsum_{k=m}^{\infty}p_k=\Bigsum_{k=0}^{m-1}\left\{\frac{(mu)^k}{k!}p_0\right\}+\Bigsum_{k=m}^{\infty}\left\{\frac{(mu)^m}{m!}u^{k-m}p_0\right\}
  • =p_0\Bigsum_{k=0}^{m-1}\frac{(mu)^k}{k!}+\frac{(mu)^m}{m!}p_0\Bigsum_{k=m}^{\infty}u^{k-m}=p_0\left\{\Bigsum_{k=0}^{m-1}\frac{(mu)^k}{k!}+\frac{(mu)^m}{m!}\Bigsum_{k=m}^{\infty}u^{k-m}\right\}
  • =p_0\left\{\Bigsum_{k=0}^{m-1}\frac{(mu)^k}{k!}+\frac{(mu)^m}{m!(1-u)}\right\}

よって

  • p_0\left\{\Bigsum_{k=0}^{m-1}\frac{(mu)^k}{k!}+\frac{(mu)^m}{m!(1-u)}\right\}=1

よって

  • p_0=\frac{1}{\Bigsum_{k=0}^{m-1}\frac{(mu)^k}{k!}+\frac{(mu)^m}{m!(1-u)}}・・・・・・(14)

式(14)を式(11)と式(12)に代入することにより、全てのp_kの値を求めることが出来ます。
M/M/mにおける待ち時間の式の導出(3)」に続きます。