脳とコンピュータはどう違うか 茂木健一郎
脳とコンピュータはどう違うか―究極のコンピュータは意識をもつか (ブルーバックス)
- 作者: 茂木健一郎,田谷文彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/05/17
- メディア: 新書
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- 現在の汎用コンピュータの理論的基盤になっている「万能チューリングマシン」は、ほとんどすべてのことをシミュレーションすることができる。その意味では、脳の1000億のニューロンを作るネットワークの振る舞いも、シミュレーションできる可能性が高い。
- コンピュータの上で脳の振る舞いをシミュレーションするための理論的モデルであるニューラルネットワークは、従来、主に脳の「パターン認識」の機能を再現する方向で研究されてきたが、潜在的な能力としては、より普遍的な機能を実現できる可能性がある。ただし、私たちは現時点でどうすればそれを実現できるのか知らない。
- 脳の機能を理解する上で本質的な課題になっているのは、例えば、脳の中で新しい情報が生成され、「あるものがあるものであること」(同一性)が成立し、また擬似的な形での「主観性」(ホムンクルス)が成立するメカニズムを理解することである。
- 右の問題は、脳をめぐる究極の問題、すなわち、物質である脳の振る舞いから、いかにしてクオリアに満ちた私たちの主観的体験(意識)が生まれるのかという問題と関連している。また、果たして、コンピュータが将来意識を持つことがあるのかという問題とも関連している。
次は、コラムに書かれていた文章。
ひょっとすると、私たちがやるべきことは、むしろホムンクルスを「擬似的に」復活させることなのかもしれない。脳のある特定の場所に、ホムンクルスが膝をかかえて座っているという考え方は明らかに間違っている。しかし、より洗練された、抽象的な、現在の私たちには想像することもできないやり方でホムンクルスを「擬似的に」復活させることでしか、同一性をはじめとする脳における認識の難しい問題は解決できないのかもしれない。(茂木)
それから略年表を作りました。自分のメモ用です。
- 1943年 マカロッツ・ピッツモデル
- 1948年 アラン・チューリング 「知能機械」 B型未組織化機械
- 1950年代から60年代 デイビッド・ヒューベルとトレステン・ウィーゼル 反応選択性の発見
- 1960年 フランク・ローゼンブラット パーセプトロン
- 1969年 マービン・ミンスキーとシーモア・パパート 「パーセプトロン」でパーセプトロンの限界を公表
- 1972年 ホラス・パーロウ 「ニューロンドクトリン」提唱
- 1986年 ラメルハートとマクレランド 「並列分散処理」 逆誤差伝播法を提唱
それから、次のリンクを見つけました。追々、見ていけたら、と思います。(やりたいことがいっぱいですね。)