脳とコンピュータはどう違うか 茂木健一郎

図書館で借りてきたのですが、久しぶりにワクワクする読書になりました。たぶん、サイバネティックスの「第5章 計算機と神経系」の検討を私がこのブログに書く時に参考にするでしょう。今はメモ代わりに重要と思った箇所を記しておきます。まずは、最終章に書かれていたまとめから。

  1. 現在の汎用コンピュータの理論的基盤になっている「万能チューリングマシン」は、ほとんどすべてのことをシミュレーションすることができる。その意味では、脳の1000億のニューロンを作るネットワークの振る舞いも、シミュレーションできる可能性が高い。
  2. コンピュータの上で脳の振る舞いをシミュレーションするための理論的モデルであるニューラルネットワークは、従来、主に脳の「パターン認識」の機能を再現する方向で研究されてきたが、潜在的な能力としては、より普遍的な機能を実現できる可能性がある。ただし、私たちは現時点でどうすればそれを実現できるのか知らない。
  3. 脳の機能を理解する上で本質的な課題になっているのは、例えば、脳の中で新しい情報が生成され、「あるものがあるものであること」(同一性)が成立し、また擬似的な形での「主観性」(ホムンクルス)が成立するメカニズムを理解することである。
  4. 右の問題は、脳をめぐる究極の問題、すなわち、物質である脳の振る舞いから、いかにしてクオリアに満ちた私たちの主観的体験(意識)が生まれるのかという問題と関連している。また、果たして、コンピュータが将来意識を持つことがあるのかという問題とも関連している。


次は、コラムに書かれていた文章。

ひょっとすると、私たちがやるべきことは、むしろホムンクルスを「擬似的に」復活させることなのかもしれない。脳のある特定の場所に、ホムンクルスが膝をかかえて座っているという考え方は明らかに間違っている。しかし、より洗練された、抽象的な、現在の私たちには想像することもできないやり方でホムンクルスを「擬似的に」復活させることでしか、同一性をはじめとする脳における認識の難しい問題は解決できないのかもしれない。(茂木)


それから略年表を作りました。自分のメモ用です。

それから、次のリンクを見つけました。追々、見ていけたら、と思います。(やりたいことがいっぱいですね。)