現実的なワーストケースの式への疑問(1)

直列のジャクソン・ネットワークでX-Factorが一番大きい構成」で、直列のジャクソン・ネットワークでX-Factoerが一番大きい場合には、X-Factoer

  • X-Factor(u_b)=\frac{1}{1-u_b}

となることを導きました。ここで正味の処理時間(ロー・プロセス・タイム)をT_0サイクルタイムCTで表すと

  • X-Factor(u_b)=\frac{CT}{T_0}

になります。よって

  • \frac{CT}{T_0}=\frac{1}{1-u_b}・・・・・・(1)

です。ここでスループットTHボトルネック・ステーションキャパシティr_bで表すと、ボトルネック・ステーション利用率u_bは、

  • u_b=\frac{TH}{r_b}

となるので式(1)は

  • \frac{CT}{T_0}=\frac{1}{1-\frac{TH}{r_b}}・・・・・・(2)

さらに、WIPwで表すとリトルの法則から

  • w=CT{\times}TH

よって

  • TH=\frac{w}{CT}

これを式(2)に代入して

  • \frac{CT}{T_0}=\frac{1}{1-\frac{w}{CTr_b}}

よって

  • CT(1-\frac{w}{CTr_b})=T_0
  • CT-\frac{w}{r_b}=T_0
  • CT=T_0+\frac{w}{r_b}・・・・・・(3)

ところで、「定義(現実的なワーストケース)」を見ると、

  • CT_{PWC}=T_0+\frac{(w-1)}{r_b}・・・・・・(4)
    • CT_{PWC}PWCはPractical Worst Case「現実的なワーストケース」を意味しています。)

となっていてww-1だけ差があります。
式(4)は「定義」なので、「そのような定義である」、と言われればそれまでですが、私には式(3)をもって現実的なワーストケースの数学的モデルとするほうが根拠が強いと思います。実際の応用においてはwは何百、何千のオーダーなので、-1があってもなくてもほとんど差はないのですが・・・・・・
現実的なワーストケースの式への疑問(2)」に続きます。