グーグルは薔薇十字っぽい

梅田望夫氏の「【第五回】 「普通であること」に埋没しない個を」に出てくるこのような記述

つまり、彼らのやろうとしていることは「革命」なんです。「情報というものをすべての人たちがもつことによって、世界がよくなる」ということを信じている。それはもう、信仰、宗教といえるほどの強い思いです。そのベースには、リバタニアニズム(自由至上主義)がある。個人の徹底的なエンパワーメントが世の中をよくする、という思想がある。

それから

いま、ネット上で技術的イノベーションを起こしているのは、宗教的熱狂を伴った志向性の共同体です。


こういうところに、私は薔薇十字を感じます。とくに(団員の一人と目された)コメニウスが「世界初の子供のための絵入り子供百科事典『世界図絵』」を作ったことを連想させます。その背景には宗教的な熱狂とともに、知識を多くの人々に伝えることで世界を改革出来る、という信念があります。そのような志向性はやがて、国家や宗教や文化を越えた普遍的な方法を追及し、普遍的な果実を得ようとする方向に進みます。

 だがコメニウスは薔薇十字騒動のすべてが空虚であるとは信じられず、薔薇十字団に結晶化したすべての希望が実現する日がいつか来ると考えた。そして1641年、「光の道」という題の大胆かつ壮大な改革のプログラムを、まさしくイギリスの地で執筆した(出版はされなかった)。彼の目標は普遍主義である。「コンフェッシオ・フラテルニタティス」で述べられたアダムの共通言語がもはや存在せず、ラテン語も共通語としての役割を本当には果たすことができないのだから、万人に理解でき、あらゆるレベルの知識に適用できる新しい言葉を発明しなくてはならない。そうなれば知の総体が、世界のエリートを擁する世界学院に共同作業で集積され、この文化は、キリスト教徒、ユダヤ教徒イスラム教徒、異教徒を問わず、万人に役立つであろう。


薔薇十字団(文庫クセジュ)」ロランエディゴフェル著、田中義広訳より


万人に理解でき、あらゆるレベルの知識に適用できる新しい言葉を発明しなくてはならない。