象徴天皇

象徴天皇 (岩波新書)

象徴天皇 (岩波新書)

私の本棚の「天皇家」ものでは扱っている時代が一番新しいのがこの本です。この本は昭和のうちに出版されましたので、「天皇家」ものは昭和でストップという感じが自分の中にはあります。それにしても、今回、この本を読み直して意外だったのは、自分がこの本を平成になってから買った、ということでした。自分の記憶ではこの本を買ったのは昭和63年の暮であって、この本を手引きにして、昭和天皇崩御から今の天皇の即位までのさまざまな儀式を眺めていたり、知ったかぶって人に「あれはああだよ」とか教えていた、とずっと思っていたのに、発行日を見たら1989年4月5日 第8刷 でした。


著者は共同通信社に勤め、昭和の一時期「宮内記者会」なるものに常駐していたらしいです。この本のスタンスは「あとがき」の中に以下のように記述されています。

 天皇、皇族に関する出版物は、おびただしい量に上る。私が不満に思うのは、天皇制に対し、賛成でも反対でも良いのだが、もう少し実態を知ったうえで議論してはどうか、ということである。皇室取材を始めて13年、本書ではこの間集めた資料をもとに、できるだけ評価を避け、天皇制の実態をありのままに出すよう努めた。天皇制を論じる上で参考になれば幸いである。

内容は目次から拾うと、

象徴天皇の誕生(1)(2)
皇室と宮内庁
皇室外交と行幸
天皇
宮中祭祀
践祚・即位のセレモニー

となっていて多角的に皇室をとらえています。しかし、平成ももう20年になってしまったので、この本の記述のいくつかはもう変化してしまっているだろうなあ、と想像します。私はこの本を基礎資料として位置づけています。