この章はサプライチェーンについて概説する。
在庫を、原材料在庫、WIP、完成品在庫(FGI)、スペアパーツ、の4つに分類し、それぞれの在庫量削減方法について述べる。重要なことは、なぜ在庫が存在するのか理解することである。個々のタイプの在庫がなぜ保管されているかという疑問を厳格に尋ねることで、隠れた非効率を明らかにする可能性がある。
- 原材料在庫については、ABC分類と、安全在庫、適切な注文頻度について考察する。
- WIPについては、処理待ち、バッチ構成待ち、マッチ待ち(組立工程で一緒になるべきパーツを待つこと)についてそれぞれ削減方法を検討する。
- 完成品在庫については半製品を保管し注文に応じてカスタマイズする戦略について述べる。
- スペアパーツについては第2章の在庫制御のモデルを拡張して考察する。
さまざまなモデルを考えることが出来るが、いずれにせよモデルは単純化されており、近似的なものでしかない。よって、分析が出来る最善のことは合理的な方針を見つけることとトレードオフを検討することである。そのため、経験的な観察とフィードバックで分析を補足すべきである。また、サイクルタイム短縮は構成部品の購入における遠い予測や作業のスケジューリングへの依存をより少なくすることが出来る点からも重視すべきである。
この章は、複数階層の在庫システムの振舞いについて若干述べている。保管が複数の階層で行われる時、在庫管理はより複雑になる。個々の階層でのパフォーマンスが全体システムの効率に寄与出来るようにするための調整が重要である。牛追いムチ効果は個々の階層の近視的制御がシステム全体に大きな問題をどのように引き起こし得るかを示している。これらを回避するために、サプライチェーンを、全体として分析し、可能なところではデータを共用し、不必要な複雑さを回避することが重要である。
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