物理学とは何だろうか(上)(下)
- 作者: 朝永振一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1979/05/21
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- 作者: 朝永振一郎
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ノーベル賞物理学者、朝永振一郎氏の絶筆となった本です。20世紀の相対性理論や量子力学については述べられていません。統計力学が確立されるところ、19世紀末のところで記述が終わっています。非常に優しい語り口で記述されていますが、内容はやはり専門的です。語り口に乗せられて分かったような気になるのですが、そこに書かれているその時代時代での物理学上の課題をよく考えていくと、やはりそこには難しい問題が残っているように思います。
朝永氏は理論が時間を経て発展していく道筋を省略したくないのです。それは氏の誠実さだと思います。通常は、そのようなことをやっていたらなかなか結論までたどり着けません。高校の物理では最初に結論、例えばと習ってしまいます。どうしてを発見することが出来たのか、その長い過程を説明していたら日が暮れます。しかしこの本はそれを説明します。序章として古代アレキサンドリアや16世紀の占星術と錬金術を概観したのち、第1章1節はケプラーの業績を説明します。次にガリレオが来てその次にやっとニュートンがやってきます。このようにこの本は物理学がどのように発達してきたかを述べる科学史の体裁をとっています。
「名著」だと思います。新書ですから量もそれほどありません。しかし読みこなすのは大変だと思います。