Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(10)

Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(9)」の続きです。
今日も2ページ。

パラメータ\alpha_i\rho_iは単一サーバについては一致し、\alpha_iはサーバの数m_iが増加するにつれて(m_i=\inftyの時は明らかに)より役立つ傾向がある。


 到着レートがノードについて計算された後に、QNAは矢印に関連した数量

  • \lambda_{ij}=\lambda_i\gamma_iq_{ij}
    • ノードiからノードjへの到着レート
  • p_{ij}=\lambda_{ij}/\lambda_j
    • jへの到着におけるii{\ge}0から来たものの割合・・・・・(22)

を計算する。同様に、QNAは以下のアウトプットレートを計算する。

  • d_i=\lambda_i\gamma_i\left(1-\Bigsum_{j=1}^nq_{ij}\right)
    • ノードiからネットワークの外への出発レート
  • d=\Bigsum_{i=1}^nd_i
    • ネットワークの外への総出発レート・・・・・(23)


4.2 トラフィック変動方程式
 近似の心臓部は内部フローについての変動パラメータ、つまり、到着過程の2乗変動係数c_{aj}^2、をもたらす連立方程式である。(これらはセクション4.3から4.7で導出される。) 方程式は

		c_{aj}^2=a_j+\Bigsum_{i=1}^nc_{ai}^2b_{ij}、 1{\le}j{\le}n			(24)

の形をした一次式であり、a_jb_{ij}は入力データに依存する定数である。

	a_j=1+w_j\left\{(p_{0j}c_{0j}^2-1)+\Bigsum_{i=1}^np_{ij}[(1-q_{ij})+(1-v_{ij})\gamma_iq_{ij}\rho_i^2x_i]\right\}	(25)

	b_{ij}=w_jp_{ij}q_{ij}\gamma_i[v_{ij}+(1-v_{ij})(1-\rho_i^2)]		(26)

ただし、x_iv_{ij}w_jは先に決定される基本データ、たとえば、\rho_im_ic_{si}^2、に依存するが、計算される変動パラメータc_{aj}^2には依存しない。パラメータ\gamma_iはセクション2.2で導入された、客の生成や組合せの乗数である。変数x_iv_{ij}は出発オペレーションを指定するために使用される。変数w_jは重ね合わせオペレーションを指定するために使用される。変数v_{ij}w_jは、それぞれ出発と重ね合わせのためのハイブリット近似で発生する凸結合で使用される重み、すなわち、確率である。変数x_jv_{ij}w_jは(24)に基づくアルゴリズムの修正を容易にするために含まれている。QNAのこのバージョンでの特定の値は

		x_i=1+m_i^{-0.5}(max\{c_{si}^2, 0.2\}-1)				(27)
		v_{ij}=0							(28)
		w_j=[1+4(1-\rho_j)^2(v_j-1)]^{-1}				(29)

であり、

		v_j=\left[\Bigsum_{i=0}^np_{ij}^2\right]^{-1}				(30)

であり、p_{ij}は(22)にある。


 この連立方程式を修正することが容易であることは重要である。例えば、出発や重ね合わせの他のハイブリッド手続きは単にv_{ij}w_jをそれぞれ変えることによって導入できる。このようにして、いくつかの異なる近似手続きについて変動パラメータを計算し比較することは容易である。


4.3 重ね合わせ
 以下の諸セクションの目的は主要な近似方程式(24)〜(30)を説明することであり、それらは内部フローについての変動パラメータをもたらす。近似は全てWhitt*1における基本方法、すなわち、漸近法と定常間隔法、に基づいている。まず我々は基本オペレーション(重ね合わせ、分岐、出発を考察し、次にそれらの総合を考察する。


 重ね合わせについては、定常間隔法は非線形なのでそれは困難を示す*2 *3 *4 *5。さらに、それを線形にする自然な修正はないように見える。一方、漸近法は線形である。漸近法により、コンポーネント乗変動係数c_i^2とレート\lambda_iの関数としての重ね合わせの2乗変動係数c_A^2は単に凸結合

		c_A^2=\Bigsum_i\left(\lambda_i/\Bigsum_k\lambda_k\right)c_i^2			(31)

である。


 しかし、漸近法も定常間隔法も単独では広い範囲の場合に渡ってあまりうまくはいかない。例えば、Whitt*6のセクションIIIを参照。Albin*7 *8は改善された合成手続きを用いることによってかなりの改善が得られることを見つけた。それは漸近法のc_A^2と定常間隔法の[c_{SI}^2]の凸結合に基づいている。彼女のハイブリッドc_H^2

		c_H^2=wc_A^2+(1-w)c_{SI}^2			(32)

の形をしている。


いよいよ「近似の心臓部」である「トラフィック変動方程式」に突入しました。

(これらはセクション4.3から4.7で導出される。)

とあります。そうすると4.3から4.7までまずは通して読んだほうがよさそうです。


Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(11)」に続きます。

*1:W. Whitt,「再生過程による点過程の近似、?:2つの基本的方法」Oper. Res., 30, No.1 (January-February 1982),pp.125-47.

*2:W. Whitt,「再生過程による点過程の近似、?:2つの基本的方法」Oper. Res., 30, No.1 (January-February 1982),pp.125-47.

*3:S.L. Albin,「重ね合わせ到着過程を持つ待ち行列の近似」Ph.D dissertation, Department of Industrial Engineering and Operation Research, Columbia University, 1981.

*4:S.L. Albin,「再生過程による点過程の近似、II:待ち行列への重ね合わせ到着過程」Department of Industrial Engineering, Rutgers University, 1982.

*5:P.J. Kuehn,「分解による一般待ち行列ネットワークの近似解析」IEEE Trans. Commun., COM-27, No.1 (January 1979), pp.113-26.

*6:W. Whitt,「Queueing Network Analyzerのパフォーマンス」B.S.T.J., this issue.

*7:S.L. Albin,「重ね合わせ到着過程を持つ待ち行列の近似」Ph.D dissertation, Department of Industrial Engineering and Operation Research, Columbia University, 1981.

*8:S.L. Albin,「再生過程による点過程の近似、II:待ち行列への重ね合わせ到着過程」Department of Industrial Engineering, Rutgers University, 1982.