Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(9)

Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(8)」の続きです。
今日も2ページ。

ただしN_iはノードiでの平衡時の客の数を表し、T_i変数はノードiでの1訪問あたりの滞在時間を表す。


 (16)内の演算を逆にすることにより(17)内の変数\bar\tau_i\bar{c}_{si}^2を得るので、元々のデータを再び受け取る。\bar{W}_iの2次モーメント特性を含む(17)の後ろの5つの式は変形されたシステムのN_iの結果とReiman*1 *2による待ち行列のネットワークの高負荷極限理論に基づいている。求めたい主要な数量はVar(\bar{W}_i)である。変数\bar{W'}_iは、\bar{W}_iの予備近似である。


 高負荷において、ノードへの待ち行列長の変化は客のネットワーク内での滞在の間、無視できる。よって、もしノードiがある客によってX_i回訪問を受けるのであれば、ノードiでの総滞在時間、例えばT_i'としよう、はX_i\bar{T}_i'として(高負荷で)近似的に分布する。ただしX_i\bar{T}_i'と独立であり、\bar{T}_i'は(17)における、1訪問あたりの滞在時間である。(我々は(16)から直接得られるT_iの記述を用いず、そして\bar{T}_i\bar{T}_i'とは異なるだろうから、T_i\bar{T}_iの代わりにT_i'\bar{T}_i'を用いる。) 独立性により、ET_i'^2=EX_i^2E\bar{T'}_i^2X_iは平均(1-q_{ii})^{-1}の幾何分布になっているので、c^2(X_i)=q_{ii}、よって我々は(17)の7番目の式を得る。


 (17)の6番目と8番目の式は単に、平均と分散に関するc^2についての式と、滞在時間は待ち時間プラス、サービス時間であるという事実を表す。Var(W_i')についての最後の式は確率変数の合計の分散についての標準公式を用いて、N_i個のiidサービス時間の合計によってW_i'を近似することによって得られる。(例えば、N_iについての最初の条件付けによってEW_i'^2を計算せよ)。最後に、T_i'の分散を待ち時間要素とサービス時間要素に分け、ノードiへの訪問の期待数で割ることによってVar(\bar{W}_i)の5番目の式を得る。その結果、Var(T_i')Var(\bar{W}_i)より信頼出来るように見える。この手続きは、セクションVIでのように分散要素を足すことによりVar(\bar{W}_i)から計算したVar(T_i)を作り出し、(17)でのVar(T_i')についての直接の式と一致する。


 (16)に基づく混雑尺度はセクション6.2におけるようにネットワーク内の任意の客の総遅延時間と総滞在時間を記述するために使用できるが、(17)に基づいた混雑尺度はセクション6.3でのように指定したルートを持つ特定の客の振る舞いを記述するのに必要である。しかし、上述のように、(17)のVar(T_i')は(16)によって得られるVar(T_i)の魅力的な代用物である。


 経験は、即座戻りの除去がしばしばよりよい近似をもたらすことを示している(Kuehn*3と、Whitt*4のセクションVとVIIを参照)。ほとんど即座の戻り、たとえば、1つかそれ以上のノードを通過後比較的速く戻るフロー、を除去するようにネットワークを再構成することもしばしば望ましい(Whitt40. *5のセクションVを参照)。戻り現象を理解し改善された近似を開発するためにはさらなる研究が必要である。


IV. 内部フロー諸パラメータ
 このセクションではQNAがどのようにして内部フロー・パラメータを計算するかを示す。セクション4.1では、フロー・レートに注目する。これはちょうどマルコフ・モデルと同じように、トラフィック・レート方程式によって得られる。セクション4.2では変動パラメータをもたらす、対応する連立一次方程式を示す。残りのサブセクションは変動パラメータ方程式がどのように得られたかを説明する。重ね合わせ、分離、出発の基本オペレーションがセクション4.3、セクション4.4、セクション4.5で検討され、それらの総合はセクション4.6で検討される。


4.1 トラフィック・レート方程式
 このステップでQNAは個々のノードへの総到着レートを計算する。\lambda_jをノードjへの総到着レートであるとする。\gamma_jをセクション2.2で指定されたようにノードjでの客生成の乗数であるとし、\delta_jをノードjでの(ネットワークを出るのと同様他のノードへの)出発レートであるとする。一般に、\delta_j=\lambda_j\gamma_j。もし客の生成がないのであれば、\gamma_j=1であり、入るレートは出るレートに等しい。


 基本「トラフィック・レート方程式」はちょうどj=1,2,...,nについて

		\lambda_j=\lambda_{0j}+\Bigsum_{i=1}^n\lambda_i\gamma_iq_{ij}		(18)

あるいは行列記法では

		\Lambda=\Lambda_0(I-\Gamma{Q})^{-1}		(19)

ただし\Lambda_0{\eq}(\lambda_{0j})は外部到着レート・ベクトルであり、Q{\eq}(q_{ij})はルーティング行列であり、\Gamma=(\gamma_{ij})\gamma_{ii}=\gamma_iかつi{\ne}jの時\gamma_{ij}=0である対角行列である。客の生成がない場合、\gamma_i=1\Gamma=I。もちろん、(18)はちょうど連立一次方程式である。これらを解くことは(19)の行列(I-\Gamma{Q})を逆にすることと等価である。セクション2.2でのようにノードで客が生成される可能性がある場合、(18)が解を持つことを保証するために特別な注意がなされるべきである。sp(\Gamma{Q})<1である必要がある。ただしsp(\Gamma{Q})\Gamma{Q}のスペクトル半径である。


 到着レートが指定された場合、個々のノードの

		\rho_i=\lambda_i\tau_i/m_i、   1{\le}i{\le}n		(20)

で定義される、「トラフィック強度」すなわち「利用率」について解くことは可能である。もし\rho{\ge}1ならば、i番目のノードは「非定常である。」 もし任意のノードが非定常であるならば、アルゴリズムはエラーメッセージを与え、トラフィック強度をプリントアウトし、停止する。ノードiでの関連する「提供負荷」は、ビジーなサーバの期待数と一致する[HeymanとSobel*6のp.400あるいはFranken他*7の(4.2.3)を参照]のであるが、これは

		\alpha_i=\lambda_i\tau_i、    1{\le}i{\le}n		(21)

である。


いよいよ、「IV. 内部フロー諸パラメータ」に入って来ました。ここからはちゃんと読まなければ・・・。
まずは、「IV. 内部フロー諸パラメータ」の構成ですが、

となっています。
そして、4.1「トラフィック・レート方程式」の内容は問題なさそうです。


Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(10)」に続きます。

*1:M. I. Reiman, 「高流量での開放型待ち行列ネットワーク」unpublished work, 1981.

*2:M. I. Reiman, 「ジャクソン・ネットワークにおけるSojourn時間のための高流量拡散近似」Applied Probability and Computer Science--The Interface, Volume 2, R. L. Disney and T. J. Ott(eds.), Boston: Birkhauser, 1982, pp.409-21.

*3:P.J. Kuehn,「分解による一般待ち行列ネットワークの近似解析」IEEE Trans. Commun., COM-27, No.1 (January 1979), pp.113-26.

*4:W. Whitt,「Queueing Network Analyzerのパフォーマンス」B.S.T.J., this issue.

*5:W. Whitt,「Queueing Network Analyzerのパフォーマンス」B.S.T.J., this issue.

*6:D. P. Heyman and M. J. Sobel,「オペレーションズ・リサーチにおける確率モデル、巻I」New York: McGraw-Hill, 1982.

*7:P. Franken, D, Koenig, U. Arndt, and V. Schmidt,「待ち行列と点過程」Berlin: Akademie-Verlag, 1981.