Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(11)

Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(10)」の続きです。
今日も2ページ。

あいにく、c_{SI}^2非線形であるので、c_H^2もそうである。しかし、Albinは、c_A^2と指数分布のc^2、1の凸結合が、3%に対して4%の平均絶対値誤差を持ち、ほぼ同様にうまくいくことを見つけた。よって、我々はそのようなハイブリッドな手続き、つまり

		c_H^2=wc_A^2+(1-w)
			=w\Bigsum_i\left(\lambda_i/\Bigsum_k\lambda_k\right)c_i^2+1-w		(33)

を用いる。ただしw\rhoとレートの関数である。広範囲なシミュレーションはAlbinが重み関数

		w=[1+2.1(1-\rho)^{1.8}v]^{-1}		(34)

を示唆することを促した。ただし

		v=\left[\Bigsum_i\left(\lambda_i/\Bigsum_k\lambda_k\right)^2\right]^{-1}		(35)

もし同じレートを持つk個のコンポーネント過程が存在するならば、v=k。パラメータvコンポーネント・ストリームの数として考えることが出来る。もしレートが等しくないならば等価な数である。


 しかし、重み関数(58)はある重要な一貫性条件を満足することに失敗する。つまりv=1の時はw=1のはずである。つまり単一の到着過程が存在するならば、重ね合わせオペレーションはc^2パラメータを変えないままにしておくべきである。さらに、新しい理論的結果*1は(34)内の(1-\rho)の指数は2であるべきであることを示している。よって我々は、(29)の重み関数に基づいて公式(33)を用いる。


4.4 分岐
 独立の確率(マルコフ的ルーティング)によって分けられた再生過程はやはり再生過程であるので、分岐について近似は必要ない。しかし、分岐される現実の過程は通常再生過程ではなく分岐はしばしばマルコフ的ルーティングに従っていないので近似はもちろん間接的にこのステップに関係している。


 マルコフ的ルーティングに従って分岐される再生過程は再生過程なので、漸近法と定常間隔法は一致する。もしパラメータc^2を持つ流れがk個の流れに分岐され、そしてそれぞれが確率p_ii=1,2,...,k、に従って独立に選択されるならば、分岐から得られるi番目の過程は以下で与えられる2乗変動係数c_i^2を持つ。

		c_i^2=p_ic^2+1-p_i			(36)

これは明らかに線形である。公式(36)は、分岐された流れの中の再生間隔分布は元々の再生間隔の幾何分布した確率変数の合計なので容易に得られる。


4.5 出発
 単一サーバ・ノードの定常間隔法について、我々はGI/G/1待ち行列*2 *3における出発間隔時間の2乗変動係数、つまりc_d^2、についてMarshallの公式

	c_d^2=c_a^2+2\rho^2c_s^2-2\rho(1-\rho){\mu}EW		(37)

を適用する。ただしEWは平均待ち時間である。EWは(37)に現れるので、ノードでの混雑は出発過程の変動に影響を与える。c_d^2の定常間隔法近似はGI/G/1待ち行列におけるEWの近似を挿入することによって得られる。我々の解析*4 *5 *6 *7 *8gに1を設定した線形近似(2)を用いれば十分であることを示唆している。これを(37)に組み合わせると、単純な公式

		c_d^2=\rho^2c_s^2+(1-\rho^2)c_a^2			(38)

を得る。


 QNAの現在のバージョンで使用されているGI/G/m待ち行列のための(38)の単純な拡張は

		c_d^2=1+(1-\rho^2)(c_a^2-1)+\frac{\rho^2}{\sqrt{m}}(c_s^2-1)	(39)

である。(39)はm=1の時(38)に一致し、(39)は定常出発過程がポアソンであると知られているM/M/mとM/G/\inftyシステムについてそうであるようにc_d^2=1を導くことに注意しよう。(39)の3番目の項はmが増加するにつれて0に近づき、複数サーバが重ね合わせオペレーションのように振舞う傾向を反映している。(39)のさらなる改良のための基礎はWhitt*9における出発過程の漸近解析である。この漸近解析はいくつかの場合、出発過程の変動は到着過程とサービス過程により複雑な仕方で依存していることを示している。


 重ね合わせと同じように、漸近法は定常間隔法より初歩的な近似をもたらす。実際、出発過程の漸近法近似はちょうど到着過程それ自身である。つまりc_d^2の漸近法近似はちょうどc_a^2である。*10長期間の出発数はちょうど到着数マイナス待ち行列内の数であり、到着数が無限に増えるのに対して、待ち行列内の数はその定常状態分布のまわりで変動する。


 改良されたハイブリッド手続きを形成するために基本的な方法を組み合わせることが残っている。しかし、限られた経験はこの改良は重ね合わせについてほど重要ではないことを示している。定常間隔法は単独で重ね合わせ過程についてよりも出発過程についてよりよく遂行されるように見える。*11


Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(12)」に続きます。

*1:W. Whitt,「高負荷の重ね合わせ到着過程を持つ待ち行列」 unpublished work, 1982.

*2:K. T. Marshall,「待ち行列におけるいくつかの不等式」Oper. Res., 16, No. 3 (May-June 1968), pp. 651-65.

*3:W. Whitt,「出発過程の近似と直列になった待ち行列」Nav. Res. Log Qtr., to be published.

*4:W.Whitt,「待ち行列の近似について、I:極値分布」B.S.T.J.,63, No.1, Part 1 (January 1984), to be published.

*5:J. G. Klincewicz and W. Whitt,「待ち行列の近似について、II:形の制約」B.S.T.J.,63,No.1, Part 1 (January 1984).

*6:W. Whitt,「待ち行列の近似について、III:指数分布の混合」B.S.T.J.,63,No.1, Part 1 (January 1984).

*7:W. Whitt,「IMRL/G/1待ち行列のMarshall and Stoyan境界はきつい」Oper. Res. Letters, 1, No.6 (December 1982), pp.209-13.

*8:W. Whitt,「待ち行列の拡散近似の洗練」Oper, Res. Letters, 1, No.5 (November 1982), pp.165-9.

*9:W. Whitt,「多くのビジーなサーバのある待ち行列からの出発」Math. Oper. Res., 9(1984).

*10:W. Whitt,「出発過程の近似と直列になった待ち行列」Nav. Res. Log Qtr., to be published.

*11:W. Whitt,「出発過程の近似と直列になった待ち行列」Nav. Res. Log Qtr., to be published.