QNA(10)(11)へのメモ(1)
さてQNAの心臓部である「Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(10)」「Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(11)」については私はとてもついていけません。ついていけない、といってシッポを捲いて逃げていくのもシャクです。私が一番知りたいと思っている、流れの重ね合わせのところに注目して、理解するように努めましょう。
まず
近似は全てWhitt*1における基本方法、すなわち、漸近法と定常間隔法、に基づいている。
と書かれているのが重要そうです。そうすると、この漸近法と定常間隔法を理解するためには論文
- W. Whitt,「再生過程による点過程の近似、I:2つの基本的方法」Oper. Res., 30, No.1 (January-February 1982),pp.125-47.
を読む必要がありそうです。幸いこの論文もWhitt教授のウェブに出ています。それに、木村俊一教授の
にも解説があるようです。(この解説を後で読むことにしよ。) 重ね合わせ後の流れの到着間隔の2乗変動係数の近似値を、漸近法で近似した場合は(Aは漸近asymptoticの頭文字から来ているようです)で、定常間隔法で近似した場合は(SIは定常間隔stationary-intervalの頭文字から来ているようです)で、表しています。しかし、この両者も
しかし、漸近法も定常間隔法も単独では広い範囲の場合に渡ってあまりうまくはいかない。
ということだそうです。この詳細は
- W. Whitt,「Queueing Network Analyzerのパフォーマンス」B.S.T.J., this issue.
のセクションIIIを参照と記されています。(すると、この論文も読まなければならないのか・・・・・・。)
とにかくうまくいかないのでAlbinという人が(あとで「彼女の」とあるので女性のようです。)この両者の線形結合(片方に重みをかけて、もう片方には重みをかけて足していますが、このような、各項の重みを全て足すと1になるような重みをかけて足す合成方法を凸結合と呼ぶみたいです。) ところで漸近法による、合流後の流れの到着間隔の2乗変動係数は、合流するそれぞれの流れの到着間隔の2乗変動係数について線形であるが、(実際、以下のようになる)
- ・・・・・・(31)
定常間隔法による、合流後の流れの到着間隔の2乗変動係数は、合流するそれぞれの流れの到着間隔の2乗変動係数について線形ではない、とのことです。よってAblinが提案する両者の凸結合による近似
- ・・・・・・(32)
もについて線形ではないので(言外に)扱いにくい、近似として不適切、とWhittは考えているようです。そこで(32)よりも若干精度が悪くなるがについて線形な
を採用した、ということです。ここでの値を決めなければなりませんが、Albinは
広範囲なシミュレーション
によって
- ・・・・・・(34)
- ただし
- ・・・・・・(35)
と定めたとのことです。
Whittは式(34)は改善されるべきだ、と言います。(ところで「重み関数(58)はある重要な一貫性条件を満足することに失敗する。」と記述されていますが、これは誤植で本当は「重み関数(34)は」でしょう。)理由は2つあり、
- その1つは、合流される元の流れが1個しかない場合、つまりまったく合流がない場合には、合流元と合流後で2乗変動係数が同じでなければならないはずなのに式(34)ではそうはなっていない、というものです。
- もう1つは新しい理論によれば式(34)のの指数は1.8ではなくて2にならなければならない、
ということです。
-
- この新しい理論というのは以下に書かれているとのことです。ですから私はこれ以上説明出来ません。
- W. Whitt,「高負荷の重ね合わせ到着過程を持つ待ち行列」 unpublished work, 1982.
- この新しい理論というのは以下に書かれているとのことです。ですから私はこれ以上説明出来ません。
では、前者の理由は説明出来るかと言われれば、それは説明出来るのですが、ちょっと長くなったので今日はここまでとします。
「QNA(10)(11)へのメモ(2)」に続きます。
*1:W. Whitt,「再生過程による点過程の近似、I:2つの基本的方法」Oper. Res., 30, No.1 (January-February 1982),pp.125-47.