QNA読解:I.導入とまとめ(2)
上位エントリー:Word Whitt: The Queueing Network Analyzerの構成
「QNA読解:I.導入とまとめ(1)」の続きです。
「I.導入とまとめ」は次にこのモデルの諸仮定を挙げています。
仮定1。ネットワークは閉鎖型ではなく開放型である。外部から来る客は、1つ以上のノードでサービスを受け、最後にシステムから立ち去る。
仮定2。キャパシティ制約は存在しない。ネットワーク全体に存在することの出来る客の数に制限はなく、個々のサービス設備は無制限の待ちスペースを持つ。
仮定3。個々のノードでは任意の数のサービスが存在し得る。それらは同一で独立なサービスであり、各々は一度に1名の客をサービスする。
仮定4。客は個々の設備で最初に来たものが最初にサービスを受ける規則に従ってサービスのために選ばれる。
仮定5。任意の数の客のクラスが存在するが、客はクラスを変更できない。さらに、QNAにおける解析の多くは集約あるいは典型的な客について行われる(セクション2.3とVIを参照)。
仮定6。客はノードで生成されたり、組み合わせられたり出来る。例えば、1つの到着は2つ以上の出発を引き起こすことが出来る(セクション2.2を参照)。(メッセージについて考えよ。)
これは以下のように読み替えることが出来ます。
仮定6については、生産ラインで考えると組合せの場合にうまくいかない点があるので、今は考慮しないことにします。
さて、その後の記述は、QNAのアウトラインを説明しています。ここを私なりの言葉でまとめると、以下のようになります。
- QNAは待ち行列ネットワークを個々のGI/G/m待ち行列に分解して解析する。
- GI/G/m待ち行列の平均待ち時間は、以下の近似式を用いて求める。基本的なアイディアは、到着間隔の分布と処理時間の分布をそれぞれ、平均と変動係数という2つのパラメータで特徴づけることである。
- の場合
ただし
-
- の場合
ただしはM/M/m待ち行列における
- このため、各GI/G/m待ち行列へのジョブ(客、ロット)の到着間隔の平均値と変動係数を求める必要がある。そのためには、以下の3つの処理を用いる。このうち平均値の算出は簡単であるが、変動係数の算出は近似的にしか出来ない。
「QNA読解:II.インプット」に続きます。