QNA読解:2.1 標準インプット

上位エントリー:Word Whitt: The Queueing Network Analyzerの構成
QNA読解:II.インプット」の続きです。
さて、QNAの標準入力は以下の通りだということです。

  • n
    • ネットワーク内の(内部)ノードの数
  • m_j
    • ノードjのサーバの数
  • \lambda_{0j}
    • ノードjへの外部到着レート
  • c_{0j}^2
    • ノードjへの外部到着過程の到着間隔の2乗変動係数
  • \tau_j
    • ノードjの平均サービス時間
  • c_{sj}^2
    • ノードjのサービス時間分布の2乗変動係数
  • q_{ij}
    • ノードiでサービスを終え、次にノードjに行くものの割合


これを下の図に示す待ち行列ネットワークの例を用いて説明します。

  • 図1

まず、ノード(生産ラインに当てはめた場合、「ステーション」)ですが、下の図に示すのが1個のノードです。

  • 図2

ですから図1の例の待ち行列ネットワークでは全部で5つのノードが存在します。つまりn=5です。それぞれのノードはサーバ(生産ラインに当てはめた場合、装置)を持っています。上の図2はノード1の例です。図ではサーバを丸で表わしています。なお、その左に書いたコの字型のものは待ち行列を表わしています。

  • 図3

よってノード1はサーバを3台持っています。つまり

  • m_1=3

です。図1を見れば、以下のように書けることが分かります。

  • m_1=3, m_2=1, m_3=2, m_4=3, m_5=2

ここまでの考え方は「標準入力」でも「クラスとルート毎の入力」でも同じです。


さて、図1において、客(ロット、ジョブ)の流れは、矢印で表わされています。赤い矢印が外部からネットワークへ入ってくる流れであり、黒い矢印がネットワーク内部での流れであり、青い矢印がネットワークから出て行く流れです。

  • \lambda_{0j}

はノードjへの外部到着レートであるということは、この例でいくと、

  • \lambda_{01}\lambda_{02}

に正の値が入り、その他のノードについてはゼロということになります。つまり

  • \lambda_{03}=\lambda_{04}=\lambda_{05}=0

です。なお、レートという言葉は、流量と考えて下さい。スループットと考えることも出来ます。また、外部到着レートを表わすのに

  • \lambda_{0j}

というふうに添え字に「0」を用いているのは、外部を「ノード0」と見なしているということから来ています。


次に

  • c_{0j}^2

は外部からノードjにやってくる客の到着の間隔の変動係数の2乗です。

  • \tau_j

はノードjの平均サービス時間であり、生産ラインに即して考えればステーションの装置の処理時間の平均値です。

  • c_{sj}^2

はノードjのサービス時間の変動係数の2乗です。


最後に

  • q_{ij}

は、ノードiを出た客が次にノードjに行く確率を表わしています。図1に即して考えると、ゼロでないq_{ij}は、

  • q_{12}, q_{13}, q_{25}, q_{34}, q_{35}, q_{42}

です。


以上の入力データでは、どのノードからネットワークの外部へ出て行く流量があるか、を指定していません。これは、\lambda_{0j}q_{ij}から外部に出て行く流量を計算することが出来るからです。


QNA読解:2.3 クラスとルート毎のインプット(1)」に続きます。