- 作者: 呉茂一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/01/01
- メディア: 文庫
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ギリシア神話の全体像を知るには今でもこの本が適していることでしょう。私の中では呉茂一という名前はギリシア神話という言葉としっかり結合しています。ギリシア神話の多様な細部までを取り上げ語るその語りの力量はなみなみならぬものです。私の持っている本は1979年のもので、もうそれから29年にもなるのでした。
私が最初にギリシア神話に出会ったのは星座にまつわる話としてでして、小学校低学年の頃、親が買ってくれた天文の本に載っていたのでした。そこには四季の夜空がそれぞれ1ページの上半分を使って描かれていて、下半分には短い解説と、星座にまつわる話が載っていました。アイヌの伝説や中国の伝説もあったように記憶していますが、大多数の話がギリシア神話から採られていました。特に秋の星座、ペルセウス、アンドロメダ、カシオペア、ケフェウス、くじら、ペガススにまつわる話は、ペルセウスを助ける女神アテナを私に印象付けました。今になって思えば長年、私の心の奥底には女神アテナのイメージが潜んでいたような気がします。(私にとっての憧れの女性の類型の1つですね。)
・・・・それから思い出すのは、同じ頃だと思うのですが、夜寝る時に、両親と3人で川の字になって寝ていたのですが、寝る前に幾晩かラジオでお話を聞きながら寝た記憶があります。そしてラジオから流れてきたのはオデュッセイアの話でした。そして私はオデュッセウスの冒険がとても気に入ったのでした。
体系的にギリシア神話を知りたくなったのは大学に入って、大学の図書館でギリシア悲劇全集を見つけてからで、この全集は私を「これはもうこの世界の細部をよく知らなければならない」という気にさせたものでした。幸いすぐに呉茂一氏のこの本に出会ったので、ギリシア神話の全体像を知ることが出来ました。この「上」は主に神々の世界を解説しています。「下」は英雄伝説です。私がラジオで聞いていたオデュッセイアは「下」で展開されます。
- 幼かったあの頃の私は、いつかオデュッセウスのように術策に富み、数々の冒険に立ち向かう日を夢見ていた・・・Athena potnia,....Potniae Athenaie.....