How Factory Physics helps simulation:5.変動の緩衝


上位エントリー:Charles R. Standridge: How Factory Physics helps simulation 概要
How Factory Physics helps simulation:4.リトルの法則」の続きです。

変動の緩衝の法則は以下のように言明される。変動は在庫(仕掛)、キャパシティリードタイムの組合せによって緩衝される。Spearman (2003)は「リーン」の一つの意味はシステムが最小の変動緩衝(バッファリング)を持つことであると言っている。
 変動の緩衝の必要性はシステム内の変動からのみ引き起こされる。2つのタイプの変動、ランダムと構造的、が存在する。ランダム変動の発生源は通常、確率変数としてモデル化され、エンティティの到着の間の時間や処理時間、製品の顧客需要、故障と故障の間の時間、といった量を含む。構造的変動は、確率変数が関係していなくても何かがいつも同じ時間であるいは同じように実行されない時にいつも発生する。例えば、ある装置は2つのタイプのパーツを、一方は正確に1分で他方は正確に2分で処理する。
 全ての「悪い」イベントが一度に発生する時のシステムの挙動を評価するのにシミュレーションは役立つ。例えば、ある生産ラインが、自分の生産する最終製品の在庫が低くて、ランダムな顧客需要が最大に近い時に、メンテナンスのためのシャットダウンの直後にランダムな故障のせいでダウンする。
 StandridgeとHeltne (2000)が記述した種類の化学プラント生産システムを考察しよう。製品は連続反応器によって作られ混合タンクに流れる。混合タンクがいっぱいの時、もしスペースがあるならば製品は出荷タンクに移される。顧客需要は1つの積載場でいっぱいにしたトラックによって出荷タンクから満たされる。このシステムを図2に示す。

  • 図2: 連続生産システム

 変動緩衝は出荷タンクによって提供される。ランダム変動は反応器からの流率を広い範囲で変化させるイベントと同様に積載場の予期せぬダウン時間に起因する。構造的変動はスケジュールされた流率の変更と生産のスケジュール(毎日)と出荷(週5日)の間の不一致に起因する。シミュレーションは毎日要求されたキャパシティの出荷タンク(変動バッファ)を出荷することによる構造的変動の縮小の効果を見積るために使用された。


How Factory Physics helps simulation:6.現実的なワーストケースの定義」に続きます。