偉大なる航海者たち
- 作者: P.H.バック,鈴木満男
- 出版社/メーカー: 社会思想社
- 発売日: 1966
- メディア: 文庫
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ポリネシア人のすごいところは、南はニュージーランドから北はハワイまで、東はイースター島から西はトンガまで、広大な範囲に広がっているということです。太平洋の地図を広げてみれば分かりますが、これはとんでもない距離です。それを彼らはカヌーで渡っていったのでした。しかも彼らは、方言程度にしか違わない共通の言葉、共通の神々や英雄の名前と、いくつかの共通な物語を保っているのでした。
彼らはハワイキというところからやってきたと伝えています。遥かなるハワイキ・・・・・。
- ハワイキ、これはニュージーランドのマオリ族(ポリネシア人の一派)による語形です。
- ハヴァイイ、これはタヒチ島での語形です。
- アヴァイキ、これはクック諸島での語形です。
- サヴァイイ、これはサモア島での語形です。
- ハワイイ、これはもちろんハワイ諸島での語形です。
これらの島々の人々は皆同じハワイキからやってきたと伝えているのです。
われらは 大いなるハワイキより 来れり。 遠きハワイキ、 遥かなるハワイキより。 ----マオリ族の伝説----
この本は古い本で、原書は1938年に出版されたものだそうです。この日本語の本に収録されたのは1966年です。私が今、持っているのは1980年発行のものです。ですから内容はとても古いのですが、太平洋の島々の歴史と神話と伝説とそれから1938年当時の風景を記していて、私にはとてもおもしろい本です。島々それぞれに少しずつ変化して伝わる神話・伝説が興味を惹きます。
著者はアイルランド人とマオリ人の混血で、彼のポリネシア文化への愛は母方から来ているのでしょう。
さて、ハワイイ・ヌイ・アケアが現れる。 広々とした空間のうちなる偉大なハワイが、 まったくの暗闇から現われいでる。 島が、陸地が生れる、 ヌウメアからはるかにつらなる島々の列、 タヒチの水平線のかなたの島々の群が。
これはハワイ諸島が生れる様を歌った古い歌。
妹のヒナ*1 *2は、泡だつ波を見おろす舳に坐って、高まる水平線を凝視していた。・・・・・
見張りをしていたヒナは叫んだ。「おおルよ。水平線の上に起き上がってくるのは何という国か。」ル*3は答えた。「あれはマウルアだ、永遠に偉大な。」マウルア(マウピチ)は、ヴァヴァウ(ポラポラ)の西にある小さな島である。
やがて、ヒナは別の島を見つけ、ルは歌った----あれはポラポラだ。その合言葉はこうしよう---- 偉大な、最初に生れたポラポラ、 海を両側に押しのけたポラポラ、
これはボラボラ島(本来の発音はポラポラ島)の発見を歌った歌。
この本にはポリネシアの古い歌や古い伝説がいっぱい詰まっています。