複数クラスを持つM/M/m待ち行列(5)
「複数クラスを持つM/M/m待ち行列(4)」の続きです。
前回の結論は式(44)
- ・・・・・(44)
でした。ここから各状態の定常状態確率を求めることが出来ます。たとえば、装置が4台のステーションを考えます。ステーションにジョブがまったくない確率をで表します。するとクラスのジョブが1個だけある状態の確率は式(44)から
- ・・・・・(45)
となります。ここから「複数クラスを持つM/M/m待ち行列(3)」の式(27)を導くことが出来ます。
次にについて考えると、式(44)から
この右辺に式(45)を代入して
- ・・・・・(46)
となります。ここから「複数クラスを持つM/M/m待ち行列(3)」の式(24)(28)を導くことが出来ます。
(28)の場合は、との和と考えれば分かります。
同様にについては、式(44)から
この右辺に式(46)を代入して
- ・・・・・(47)
となります。ここから「複数クラスを持つM/M/m待ち行列(3)」の式(30)(25)(29)を導くことが出来ます。
- [tex:P*4=\frac{4^3}{3!}p_0u_i^3]・・・・・(30)
- [tex:P*5=P*6=\frac{4^3}{2}p_0u_iu_j^2]・・・・・(25)
- [tex:P*7=4^3p_0u_iu_ju_k]・・・・・(29)
詳細は省略しますが、装置4台の時も同様にして式(32)(31)(33)(26)を導くことが出来ます。
これを装置台の時に一般化すれば、
- ・・・・・(48)
ただしは処理中の装置の台数であり、はステーション内のジョブ数、は位置のジョブのクラスを表します。また、はその定義から
と書くことが出来ます。
ところで式(48)はおもしろい性質を示しています。それは、ステーション内のジョブについて、各クラス毎のジョブ数が同じでジョブの順序だけが異なる状態は式(48)より、皆、同じ定常状態確率を持つ、ということです。たとえばとは、クラスの並び方が違うだけなので同じ値を持ちます。
「ケリーネットワークの積形式解の存在証明の試み(再挑戦)(1)」に続きます。