ケリーネットワークの定常状態確率とジャクソンネットワークの定常状態確率(1)

ケリーネットワークの積形式解の存在証明の試み(再挑戦)(3)」で、ケリーネットワークの定常状態確率の式を求めることが出来ました。それは積形式になっており、

です。
式(1)から、ケリーネットワークで状態について、ジョブのクラスを区別しないように見なした時の状態の定常状態確率がジャクソンネットワークにおける定常状態確率と等しくなることを導くことが出来ます。


状態Sにおけるステーションsk_s番目のジョブのクラスをwに置き換えた場合の状態をS[s{\leftar}w]で表すことにします。すると状態S[s{\leftar}w]の定常状態確率は式(1)から

  • P(S[s{\leftar}w])=p_0\prod_{j=1,j{\ne}s}^N\frac{m_j^{G_j}}{G_j!}\prod_{i=1}^{k_j}u_{jc(j,i)}{\times}\frac{m_s^{G_s}}{G_s!}\prod_{i=1}^{k_s-1}u_{sc(s,i)}{\times}u_{sw}・・・・・・(4)

となります。


次にステーションsk_s番目のジョブのクラスが任意のクラスである場合の確率を

  • P(S[s(k_s:all)])

で表します。つまり

  • P(S[s(k_s:all)])=\Bigsum_{w=1}^QP(S[s{\leftar}w])・・・・・・(5)

です。式(5)に(4)を代入して

  • P(S[s(k_s:all)])=p_0\prod_{j=1,j{\ne}s}^N\frac{m_j^{G_j}}{G_j!}\prod_{i=1}^{k_j}u_{jc(j,i)}{\times}\frac{m_s^{G_s}}{G_s!}\prod_{i=1}^{k_s-1}u_{sc(s,i)}{\times}\Bigsum_{w=1}^Qu_{sw}・・・・・・(6)

ここで式(3)から(「ケリーネットワークの積形式解の存在証明の試み(再挑戦)(1)」の式(5’)参照)

  • \Bigsum_{s=1}^Qu_{js}=u_j・・・・・・(7)

となることを考慮すれば、(6)は

  • P(S[s(k_s:all)])=p_0\prod_{j=1,j{\ne}s}^N\frac{m_j^{G_j}}{G_j!}\prod_{i=1}^{k_j}u_{jc(j,i)}{\times}\frac{m_s^{G_s}}{G_s!}\prod_{i=1}^{k_s-1}u_{sc(s,i)}{\times}u_s・・・・・・(7)

となります。


次にステーションsk_s番目とk_s-1番目のジョブのクラスが任意のクラスである場合の確率を

  • P(S[s(k_s-1:all,k_s:all)])

で表します。上と同様に考えると

  • P(S[s(k_s-1:all,k_s:all)])=p_0\prod_{j=1,j{\ne}s}^N\frac{m_j^{G_j}}{G_j!}\prod_{i=1}^{k_j}u_{jc(j,i)}{\times}\frac{m_s^{G_s}}{G_s!}\prod_{i=1}^{k_s-2}u_{sc(s,i)}{\times}u_s^2・・・・・・(8)

となります。


ケリーネットワークの定常状態確率とジャクソンネットワークの定常状態確率(2)」に続きます。