ケリーネットワークの定常状態確率とジャクソンネットワークの定常状態確率(2)
「ケリーネットワークの定常状態確率とジャクソンネットワークの定常状態確率(1)」の続きです。
次にステーションの全てのジョブのクラスが任意のクラスである場合の確率を
で表します。上と同様に考えると
- ・・・・・・(9)
となります。
の部分は「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(2)」の式(10)(12)と、規格化定数を除いて等価であるので
- ・・・・・・(10)
と書くことが出来ます。ただし
は規格化定数であり、
はM/M/m待ち行列において利用率でジョブ数の場合の定常状態確率を表しています。よって式(9)は
- ・・・・・・(11)
となります。
次に、全ステーションの全てのジョブのクラスが任意のクラスである場合の確率を
で表す。式(11)と同様に考えて
- ・・・・・・(12)
状態はジョブのクラスをまったく考慮していませんから、ジャクソンネットワークと同じように状態の和を改めて1つの大きな状態とみなし、これを、各ステーションでのジョブ数からなるベクトルで表すと
- ・・・・・・(13)
と書くことが出来ます。規格化定数を求めるために全ての状態について確率の和をとると
- ・・・・・・・・・(14)
ところで全確率の公式から
なので式(14)は
- ・・・・・・・・・(15)
式(15)の左辺は、やはり全確率の公式から1に等しくなければならないので
- ・・・・・・(16)
式(16)を式(13)に代入すれば
- ・・・・・・(17)
これは「ジャクソンネットワークの積形式解の存在(3)」の式(22)と同じです。
このことは、
「ケリーネットワークでジョブのクラスを無視して各ステーションでのジョブ数だけで状態を区別するとしたら、その状態の定常状態確率はジャクソンネットワークの定常状態確率に等しい」
ということを意味します。