ポアソン過程の合流と分岐

合流

複数のポアソン過程が合流して出来た過程もポアソン過程になります。
問題を単純化するためにA1とA2の2つのポアソン到着が合流してBになる場合を考えます。以下、考えることは3つ以上の到着の流れが合流する場合にもそのまま適用できます。A1のスループット

  • \lambda_{A1}

とすると、ある時刻tとそれからdtだけ後の時刻t+dtの間にA1のジョブの到着が発生する確率は、ポアソン過程ですから時刻tに依存せず

  • \lambda_{A1}dt・・・・・(1)

となります。同様にA2のスループット

  • \lambda_{A2}

とすると、tt+dtの間にA2のジョブの到着が発生する確率は、

  • \lambda_{A2}dt・・・・・(2)

となります。BにおいてはA1、A2のいずれかの到着が発生すればBでの到着になりますので、tt+dtの間にBの到着が発生する確率は、(1)と(2)を足した

  • (\lambda_{A1}+\lambda_{A2})dt・・・・・(3)

となりますから、これはスループット

  • \lambda_{A1}+\lambda_{A2}

ポアソン過程になることが分かります。
同様に考えれば、3つ以上の流れの合流の場合もポアソン過程になることが分かります。

分岐

1つのポアソン過程を確率的に複数の行先に分けて出来る複数の過程のそれぞれもポアソン過程になります。
問題を単純化するためにAが2つのポアソン到着B1、B2に分岐する場合を考えます。以下、考えることは3つ以上の流れに分岐する場合にもそのまま適用できます。Aのスループット

  • \lambda_{A}

とすると、ある時刻tとそれからdtだけ後の時刻t+dtの間にAのジョブの到着が発生する確率は、ポアソン過程ですから時刻tに依存せず

  • \lambda_{A}dt・・・・・(1)

となります。これが確率pでB1の流れに、確率(1-p)でB2の流れに属するとします。B1、B2への決定は、Aでの到着の各々について独立であるとします。この仮定は重要です。独立でない場合、つまり前の到着の決定が次の到着の決定に影響を与える場合は、以下の説明は成り立ちません。
独立であるとすると、tt+dtの間にB1での到着が発生する確率は

  • \lambda_{A}pdt・・・・・(2)

になり、B2での到着が発生する確率は

  • \lambda_{A}(1-p)dt・・・・・(3)

(2)も(3)もtに依存せず、一定の確率で到着がありますので、ポアソン過程になることが分かります。
同様に考えれば、3つ以上の流れへの分岐の場合もポアソン過程になることが分かります。

分岐の補足

上の説明で、

  • 「B1、B2への決定は、Aでの到着の各々について独立である」

と仮定しました。この仮定が成り立たない場合、分岐した流れがポアソン過程にならないという例を以下に示します。
Aの到着したジョブが交互に決定論的(つまり確率1で)B1とB2に分けられる場合を考えます。この場合、Aの1つのジョブを取り出してこれがB1に行くかB2に行くかを問えば、それは

  • 「確率1/2でB1あるいはB2に行く」

という答になりますが、このジョブの1つ前のジョブがB1に行ったことが分かっているとしたならば、このジョブは確率1でB2に行くことが分かります。つまり「B1、B2への決定は、Aでの到着の各々について独立で」はありません。
そこでB1について考えてみましょう。B1ではAでのジョブが一つ置きに取り出されるのでB1でのジョブの到着と次のジョブの到着の間隔はAにおいては、あるジョブとその2つ先のジョブの間の到着の間隔になります。よって、その到着間隔時間の分布は同一の平均を持つ2つの指数分布の和になりますので、「アーラン分布」で示したように2次のアーラン分布になります。ということはポアソン過程ではないということです。