M/D/1の定常状態分布の求め方(2)

M/D/1の定常状態分布の求め方(1)」の続きです。
ある処理終了直後にシステムにジョブが2個であったならば、その1つ前の処理終了直後にはジョブが3個だった場合と、2個だった場合と、1個だった場合と、0個だった場合が考えられます。
1つ前の処理終了直後3個ある状態が、処理中にジョブが0個到着して次の処理終了直後に2個になる確率は、

  • A(0)p(3) ・・・・・(14)

となります。
次に、1つ前の処理終了直後2個ある状態が、処理中にジョブが1個到着して次の処理終了直後に2個になる確率は、

  • A(1)p(2) ・・・・・(15)

となります。
次に、1つ前の処理終了直後1個ある状態が、処理中にジョブが2個到着して次の処理終了直後に2個になる確率は、

  • A(2)p(1) ・・・・・(16)

となります。
最後に、1つ前の処理終了直後0個ある状態が、しばらくアイドル状態となり、その後ジョブが1個到着して処理が開始され、その処理中に別のジョブが2個到着して処理終了直後に2個になる確率は、

  • A(2)p(0) ・・・・・(17)

となります。よってある処理終了直後にジョブが2個である確率p(2)は(14)(15)(16)(17)を足したものになるはずです。つまり

  • p(2)=A(0)p(3)+A(1)p(2)+A(2)p(1)+A(2)p(0)・・・・・(18)

これを変形すると

  • [1-A(1)]p(2)-A(2)p(1)-A(2)p(0)=A(0)p(3)
  • p(3)=\frac{[1-A(1)]p(2)-A(2)p(1)-A(2)p(0)}{A(0)}・・・・・(19)

式(1)でp(0)が、式(8)でp(1)が、式(13)でp(2)が、すでに求められていますので、これらを(19)に代入するとp(3)を求めることが出来ます。


ある処理終了直後にシステムにジョブが3個であったならば、その1つ前の処理終了直後にはジョブが4個だった場合と、3個だった場合と、2個だった場合と、1個だった場合と、0個だった場合が考えられます。
1つ前の処理終了直後4個ある状態が、処理中にジョブが0個到着して次の処理終了直後に3個になる確率は、

  • A(0)p(4) ・・・・・(20)

となります。
次に、1つ前の処理終了直後3個ある状態が、処理中にジョブが1個到着して次の処理終了直後に3個になる確率は、

  • A(1)p(3) ・・・・・(21)

となります。
次に、1つ前の処理終了直後2個ある状態が、処理中にジョブが2個到着して次の処理終了直後に3個になる確率は、

  • A(2)p(2) ・・・・・(22)

となります。
次に、1つ前の処理終了直後1個ある状態が、処理中にジョブが3個到着して次の処理終了直後に2個になる確率は、

  • A(3)p(1) ・・・・・(23)

となります。
最後に、1つ前の処理終了直後0個ある状態が、しばらくアイドル状態となり、その後ジョブが1個到着して処理が開始され、その処理中に別のジョブが3個到着して処理終了直後に3個になる確率は、

  • A(3)p(0) ・・・・・(24)

となります。よってある処理終了直後にジョブが3個である確率p(3)は(20)(21)(22)(23)(24)を足したものになるはずです。つまり

  • p(3)=A(0)p(4)+A(1)p(3)+A(2)p(2)+A(3)p(1)+A(3)p(0)・・・・・(25)

これを変形すると

  • [1-A(1)]p(3)-A(2)p(2)-A(3)p(0)=A(0)p(4)
  • p(4)=\frac{[1-A(1)]p(3)-A(2)p(2)-A(3)p(1)-A(3)p(0)}{A(0)}・・・・・(26)

式(1)でp(0)が、式(8)でp(1)が、式(13)でp(2)が、式(19)でp(3)が、すでに求められていますので、これらを(25)に代入するとp(4)を求めることが出来ます。


あるいは式(26)を以下のように書き直します。

  • p(4)=\frac{p(3)-A(1)p(3)-A(2)p(2)-A(3)p(1)-A(3)p(0)}{A(0)}・・・・・(27)

式(27)を一般化すれば

  • k{\ge}1の時
    • p(k+1)=\frac{p(k)-\Bigsum_{i=0}^{k-1}A(i+1)p(k-i)-A(k)p(0)}{A(0)}・・・・・(28)

となります。


以上をまとめますと

  • p(0)=1-u・・・・・(1)
  • p(1)=\frac{[1-A(0)]p(0)}{A(0)}・・・・・(8)
  • k{\ge}1の時
    • p(k+1)=\frac{p(k)-\Bigsum_{i=0}^{k-1}A(i+1)p(k-i)-A(k)p(0)}{A(0)}・・・・・(28)

これらの式を用いて、任意のkについてp(k)を求めることが出来ます。


M/D/1の定常状態分布」に続きます。