マニュファクチャリング・サイエンスの適用によるアセンブリ・テスト工程での顧客応答性の向上:Factory Physics®とサイクルタイムの組織としての知識の増加

上位エントリー:マニュファクチャリング・サイエンスの適用によるアセンブリ・テスト工程での顧客応答性の向上 概要
導入」の続きです。

サイクルタイムの目標が確立したので、工場でサイクルタイムを向上させるために何が出来るかについてATMコミュニティに教育を開始する段階が設定された。サイクルタイムは定期的なATMマネジメント・レビュー・フォーラムでの工場パフォーマンスの測定の会話の一部になったので、サイクルタイムへの関心は成長しつつあった。

ATMのサイクルタイムを改善するために、我々はFactory Physics®(FP)の教科書*1に提唱されている諸原則と数式の応用を選択した。FPの方法は工場パフォーマンスを改善するためのインダストリアル・エンジニアリングの技術の古典的な応用を補強する。


工場の制御における変化のための力を与えるための教育
ATM GMsからの装置の高稼働率と短サイクルタイムの両方を達成するという明確な方向性を得て、FPとサイクルタイム短縮方法に関してより学ぼうとする熱狂とエネルギーが急速に高まった。個々の工場は広く使用可能な基本的な紹介以上の情報を探しつつあった。教科書は広く知られており、個々の工場はより多くの情報を得るために大学などの地域リソースからの外部援助を探し始めた。中核サイクルタイム・チームは、応用において一貫性を保障することとATM全体に渡って使用することが非常に重要であることを自覚した。その結果、サイクルタイムWIPスループットの間の関係や変動の削減の重要性のようなFPの話題についての追加の教育をATMが必要としていることを満足させるためにこの論文の著者らによって一連のコースが開発された。この教育はATMの行動と対応する結果のための基礎であった。コースの資料は基本の2時間の入門書からサイクルタイムと変動削減について掘り下げた5日コースまでカバーした。


ATMで使用された主要な公式
サイクルタイムとFPの講習の紹介を完了したATM工場の臨界質量によって、基礎公式の多くは我々の標準の運用の言語になった。ATMが受け入れた主要な公式には、リトルの法則と、クリティカルWIP、変動係数、つなぎの公式が含まれる。これらの式とATMにそれらがどのように適用されたかを以下に概説する。

    • たとえば:
    • 以下を仮定する。
      • 希望CT=2日
      • 工場Zは200,000個/日の約束スループットを持っている。
    • WIP=CT*TH → WIP=2日*200,000個/日=400,000個
  • クリティカルWIP(CW)
    • 個々の工場に完全な量のWIPを持つというアイディアも検討された。CWは変動のないラインが最大のスループットと最小のサイクルタイムを達成出来るWIPの最低量である。リーンの用語では、これは理想状態と呼ばれている。クリティカルWIP量に到達することは極端に困難であることは知られていたが、理想状態が何であるかを知ることは重要であった。
      • CW=BNR{\ast}RPT
    • ただし
    • BNR=ボトルネック・レート――最も大きい長期稼働率を持つ工程のレート
    • RPT=正味処理時間――全ての工程の処理時間の合計
    • クリティカルWIPが実際のWIPと比較される時、現在工場に存在する変動の、WIPで表されたコストに関する評価が出来る。これはクリティカルWIP率と呼ばれる。この率が高くなればなるほど、理想状態と比較した工場内のWIP量は大きくなる。この余分のWIPは他の工場による変動に対する緩衝である。
  • 変動係数(CoV
    • データが示される大部分の状況では、報告される指標はデータ点の平均を表す。しかし、平均はデータの分布についてまったく情報を与えない。分布を知ることはプロセスにおける変動についての洞察を提供する。CoVは変動のよい尺度である。

    • CoVは十分なデータ点がある限り、統計的な有効性を得るためには通常30点以上であるが、任意のデータ集合について用いることが出来る。ATMは最初、アベイラビリティについて広く適用された。もしこの式を時間や個数の値に適用するならば、よい目標は1.3未満であろう*2
    • この尺度は最も高い変動の発生源を持つ装置を明確に特定し、装置技術コミュニティが、メンテナンス方針が変動削減に与えるであろう影響を理解することを促進した。
  • つなぎの式
    • 個々の単一装置の変動を理解することは工場の全ての変動を説明しない。工場は複雑で上流装置のパフォーマンスは現在のステーションに劇的に影響を与える可能性がある。
    • 変動の他の発生源がステーション間のロットの動きに影響を与えるので到着レートは出発レートには近似的にしか等しくない。*3
    • この理想状態は、上流装置が現在のステーションに製品の安定した流れを提供している状態である。それは上流ステーションが長いダウン時間を示さず、そして下流の能力にマッチした安定したバッチ・リリース方針を持つ場合にのみ可能である。
    • 既存の自動化システムは到着レートと出発レートの情報を提供するように更新された。到着レートと出発レートのデータへのアクセスが容易になり、工場はいまやプロセスを通るフロー結果を特定するためにCTのほかにもう1つのデータ・ツールを持つことになった。さらに、この追加情報は、サイクルタイム問題が現在ステーションあるいは上流ステーションのせいである場合の工場診断を助ける。


Factory Physics®の学習の適用」に続きます。

*1:Hopp, W, and Spearman, M., 「Factory Physics 第2版」 McGraw-Hill Publisher 2001.

*2:Hopp, W, and Spearman, M., 「Factory Physics 第2版」 McGraw-Hill Publisher 2001, p.263

*3:Hopp, W, and Spearman, M., 「Factory Physics 第2版」 McGraw-Hill Publisher 2001, p.263