M/M/2で空いている装置がある確率
「装置台数が増えると待ち時間が小さくなる」の続きです。
M/G/1であればPASTAによって、到着したジョブが到着時点で、装置(1台しかない)が空いている確率は(ただしは利用率)になりますが、装置が2台以上ある場合にはどうなるのかに興味が出てきました。とは言ってもM/G/mについては簡単には解析出来ませんので、M/M/mについて調べてみたいと思います。
まずはM/M/2、つまり装置が2台ある場合です。
システム内にジョブが個ある確率をで表すことにします。M/M/2においては「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(1)」から
- ・・・・・(1)
また、「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(2)」の式(10)から
- ・・・・・(2)
となります。装置が2台ある場合に、空いている装置がある確率はですから、空いている装置がある確率をで表すならば
- ・・・・・(3)
仮に、2台の装置が処理中であるかどうかが互いに独立な事象であるとしましょう。その場合、2台の装置が処理中である確率はですから、空いている装置がある確率は
- ・・・・・(4)
となります。利用率を動かしてとを比べてみると下のグラフのようになります。
これから分かるのは、まず、とは近い値であるということ、次に、はより若干小さい、ということです。つまり、M/M/2の場合、空いている装置がある確率は、装置が独立に稼動しているとした場合よりも若干小さくなる、ということです。やはり、装置は独立に稼動していると見るわけにはいきません。
そこで2台の処理状態が独立からどの程度ズレているか調べてみます。ある装置(装置A)が処理中の時に、もう1台の装置(装置B)が処理中である確率を求めます。
条件確率の公式から
- P(2台の装置が処理中である)=P(装置Bが処理中である|装置Aが処理中である)P(装置Aが処理中である)・・・・・(5)
と書き表すことが出来ます。ここでP(X)はXが起きる確率を表し、P(X|Y)はYが起きたという条件でのXが起きる確率を表します。ある装置(装置A)が処理中の時に、もう1台の装置(装置B)が処理中である確率は、P(装置Bが処理中である|装置Aが処理中である)です。(5)から
- P(装置Bが処理中である|装置Aが処理中である)=P(2台の装置が処理中である)/P(装置Aが処理中である)・・・・・(6)
ここで
- P(2台の装置が処理中である)=
- P(装置Aが処理中である)=
なので、
- ・・・・・(7)
となります。を(7)と(3)から計算すると、下のグラフのようになります。
もし、装置の状態が互いに独立であれば、
- ・・・・・(8)
のはずです。式(8)の線もグラフに追加すると下のようになります。
このグラフを見ると、一緒に装置が処理中になる確率がM/M/2の中では、装置の処理状態が独立の場合より、若干大きいことが分かります。
「M/M/mで空いている装置がある確率」に続きます。