:1.2.1.単一サービス・センター:Quantitative System Performance

1.2. 待ち行列ネットワーク・モデルとは何か?」の続きです。

1.2.1.単一サービス・センター


 図1.1は単一サービス・センターを示している。客はサービス・センターに到着し、必要ならばキューで待ち、サーバからサービスを受け、出発する。実際、このサービス・センターとその到着する顧客は(若干、退化した)待ち行列ネットワーク・モデルを構成する。

  • 図1.1 単一サービス・センター


 このモデルは2つのパラメータを持つ。第1に、我々は負荷強度を指定しなければならない。これはこの場合客が到着するレートである(例えば、2秒毎に1人の客、つまり0.5客/秒)。第2に、我々はサービス要求時間を指定しなければならない。これは1人の客の平均サービス要求時間時間(例えば、1.25秒)である。特定のパラメータの値について、若干の単純な方程式を解くことによってこのモデルを評価することが可能であり、稼動率(サーバがビジーな時間の割合)や滞在時間(1名の客がサービス・センターで、待ちとサービス受領で使った時間)や待ち行列(サービス・センターでの、待っているのとサービスを受けているのとの両方の客の数の平均)やスループット(客がサービス・センターを通過するレート)のような性能尺度をもたらす。我々の例のパラメータ値について(後述する若干の仮定の下で)これらの性能尺度は

である。
 図1.2aと1.2bは負荷強度を0.0から0.8到着/秒まで変化させた時の各々の性能尺度をグラフに表している。これはこのパラメータの興味のある値の範囲である。低いほうの端については、ゼロより少ない到着レートは無意味である。高いほうの端では、客の平均サービス要求時間が1.25秒であるとすると、サービス・センターが客を処理出来る可能な最大のレートは1.25秒毎に1人、つまり、0.8客/秒である。もし到着レートがこれより大きいならば、サービス・センターは飽和するだろう。

  • 図1.2a 単一サービス・センターの性能尺度
  • 図1.2b 単一サービス・センターの性能尺度


 図1.2について観察できる主要なことはモデルの評価が直感と経験と質的に整合する性能尺度をもたらすことである。滞在時間について考察してみよう。負荷強度が低ければ、我々は到着客はめったにサービス・センターをめぐる争いに出合わないので、即座にサービスに入り滞在時間をだいたいそのサービス要求時間に等しくするだろうと予想する。負荷強度が上るにつれて、混雑が増加し、滞在時間も一緒に増加する。始めはこの増加は緩やかである。しかし、負荷が増えるにつれて滞在時間は、サービス・センターが飽和に近づくまでどんどん速やかに増加し、到着レートの小さな増加が滞在時間の劇的な増加をもたらす。


1.2.2.複数サービス・センター」に続きます。