「2.4. 作業負荷の特徴づけ(1)」の続きです。
スタディの第2ステップはこの高レベル作業負荷特徴づけを候補システムの各々のモデルについて諸パラメータに翻訳することであった。負荷強度を決定することは問題ではなかった。3つの作業負荷コンポーネントの各々は、総到着レートの確立された割合に等しい到着レートを持つトランザクション作業負荷として扱われた。モデル出力は総到着レートの範囲について表にされた。各々のシステム上での各々の作業負荷コンポーネントについてのサービス要求時間(つまり、各々の作業負荷コンポーネントに属するトランザクションによって各々のデバイスで要求される平均サービス時間)を決めることは、各々のシステム上で3つの極めて単純な実験を走らせることを含んだ。コンパイル処理については、100行のプログラムが他のアイドルのシステム上でコンパイルされ、CPUとディスクのビジー時間が測定された。この実験は、ハードウェアの影響や、コンパイラの効率や、コンパイル処理の開始時と終了時のオーバヘッドを捕捉した。実行については、既存バッチ・システム上で測定されたCPUとディスクのサービス要求を縮小拡大した。CPUサービス用の倍率は、単一の計算処理ベンチマークを既存システム上と各々の候補システム上で走らせることによって得た。ディスク・サービス用の倍率は単一Fortran I/Oベンチマークを用いて得られた。エディティング・セッションについては、各々の候補システム上で利用可能なデフォルト・エディタを他のアイドルなシステム上で用い、100行のファイルをアクセスし1行を修正し、ファイルをセーブした。CPUとディスクのビジー時間が測定された。
表2.5は3つの候補システム、VAX-11/780とPrime 750とPrime 550についてのこれらの実験の結果を示している。両方のPrime上で利用可能な2つのFortranコンパイラについて劇的に異なる効率が観測されたことに注意しよう。また、VAX上のエディタとファイル・システム間のインタフェースが相対的に非効率であることにも注意しよう。これらの値に基づいて、候補システムの待ち行列ネットワーク・モデルがそのパラメータ値を決定され評価された。(複数ディスクを表現することは計算されたディスク・サービス要求時間を数台のサービス・センターの間に分配することを含んだ。パラメータ値決定は、メモリ・コンテンションによるオーバヘッドを考慮する必要がなかったという事実によって単純化された。メモリ・コンテンションは通常負荷強度とともに増加する。メモリについて過度に配備されたシステムはRFPの条項であった。) 図2.3と2.4はこのスタディの典型的な結果を示している。すなわち、VAX-11/780と、コンパイラAつきPrime 750と、コンパイラBつきPrime 750についてそれぞれのコンパイル処理と実行についての平均応答時間と総トランザクション到着レートの関係である。Primeの性能はコンパイラの選択に極度に左右されることと、この選択がコンパイルをしているユーザだけではなく全てのユーザに影響を与えていることに注意しよう。(注意。これらの結果は考察している特定の構成と作業負荷についてのみ意味がある。)
- 図2.4 実行応答時間と総到着レート
これの変形を簡単に調査することが出来る。ディスク負荷の偏りの影響は、各々のサービス・センターに割当てられるサービス要求時間の割合を変えることによって調査することが出来る。作業負荷特徴づけの結果への感度をスタディすることが出来る。例えば、3つの作業負荷の相対到着レートを変えることが出来るだろう。
「2.5. 感度分析」に続きます。