プルースト「失われた時を求めて――コンブレー」を読書中(3)

今日はちょっとがんばって112ページのと途中

ミサから帰るときに、私たちはよくルグランダン氏に出会ったが・・・

まで。

この頃は主人公はパリに住んでいたのでした。復活祭の少し前から一家でコンブレーの叔母(レオニー叔母)の家に休暇(?)を過ごしにきたようです。ここはもっと幼い時に主人公が住んでいた家のようです。さて、81ページから98ページの前半まではこのレオニー叔母とそれに仕える女中のフランソワーズの描写が延々と続き、そして98ページから112ページまではコンブレーの教会の描写が延々と続きます。それで、誰かが私に「今日読んだところには何が書いてあった?」と聞いたとしたら、「えーっと、レオニー叔母とフランソワーズのたわいのない会話と、それからコンブレーにある高い鐘塔のある古い教会のこと」というように、(子供のように)答えるしかありません。本当に要約するとそれだけになってしまいますし、それを避けようとすれば結局、全体を延々と述べるしかないでしょう。適度な要約が出来ないのです。

 さて、年老いてしかも暇を持て余しているレオニー叔母と、無学であるがしっかり者で忠実であるフランソワーズの会話はなかなかよく出来ています。下の文の中で「オクターヴの奥様」とフランソワーズが呼んでいるのはレオニー叔母のことです。

「何か目まいでもするのですか?」
「いいえ、そうではないの、フランソワーズ」と叔母はいうのだ、「ほんとうのことをいえばそうね、だってあれでしょう、このごろは目まいがしないときはめったにないのだもの、私もいずれルソーの奥さんのように、正気にかえらないままであちらへ行ってしまうわ、でもね、いま呼鈴を鳴らしたのはそれではないの。何かと思うでしょう? グーピの奥さんが私のまるで知らない娘さんといっしょなのをこの目ではっきり見たのよ。だからね、カミュの店に行ってお塩を二スーばかりもらっていらっしゃい。テオドールにきけば、誰なのか、いってくれないことはめったにないのだからね。」
「それなら、ピュバンさんのところのお嬢さんでしょう!」とフランソワーズはいうのだった、彼女は朝からもう二度もカミュの店に行ったので、即答の説明で切り上げたかった。
「ピュバンさんのところのお嬢さん! まあ! そうかしら、フランソワーズ、それならどうして私にわからなかったのかしらね?」
「だって、上のお嬢さんのことではないのですよ、オクターヴの奥様、ジューイの寄宿学校にはいっている下のお嬢さんのことですよ。そのかたなら私もけさ見かけたように思いますけれど。」
「そう! それしかないわね」と叔母はいうのであった。「きっと復活祭のお休みで帰ってきたのね。それだわ!・・・・」

こんな会話が続きます。