5.2.3.漸近的境界のまとめ:Quantitative System Performance

5.2.2.バッチと端末の作業負荷」の続きです。(目次はこちら

5.2.3.漸近的境界のまとめ


 表5.1は漸近的境界をまとめている。アルゴリズム5.1は、それによってバッチと端末の作業負荷について漸近的境界を計算出来るステップを示している。(トランザクション作業負荷についての計算は自明である。) 端末作業負荷についての悲観的スループット境界を例外として全ての境界は直線であることに注意しよう。よって、一旦DD_{max}が分かれば、ネットワーク内の客数の関数として表現された漸近的境界の計算は少しの算術的操作をするだけである。計算の量はモデル内のセンターの数にも興味のある客の数の範囲にも独立である。

  • 表5.1 漸近的境界のまとめ

ステップは端末作業負荷を仮定して提示されている。(バッチ作業負荷を扱うためには、Zにゼロをセットすること。)

  • 1.D=\Bigsum_{k=1}^KD_kD_{max}=\max_kD_kを計算する。
  • 2.2つの楽観的境界の交差点を計算する。
    • N*=\frac{D+Z}{D_{max}}
  • 3.スループットの境界は以下の点を通る。
    • 楽観的境界
      • N{\le}N*の時、(0,0)と(1,\frac{1}{D+Z})
      • N{\ge}N*の時、(0,\frac{1}{D_{max}})(1,\frac{1}{D_{max}})
    • 悲観的境界
      • この境界はNについて線形ではなく、それゆえ表5.1の式を用いて当該個数について計算しなければならない。
  • 4.平均応答時間の境界は以下の点を通る。
    • 楽観的境界
      • N{\le}N*の時、(0,D)(1,D)
      • N{\ge}N*の時、(0,-Z)(1,D_{max}-Z)
    • 悲観的境界
      • (0,0)(1,D)