プルースト「失われた時を求めて――コンブレー」を読書中(8)

今日は243ページまで。
ルグランダン氏のスノビズム。コンブレーでの散歩道が「ゲルマントのほうへ」と「スワン家のほうへ」の2つがあること。スワン家のほうへの散歩道の描写。主人公の家族がスワンの妻と娘に会うのを避けていること。しかし。ある日、スワンもその家族もいないと思って、スワン家のほうへ行ったところ、偶然、スワンの妻オデットと、その愛人らしいシャルリュス(貴族ゲルマント家の一員)とスワンとオデットの娘ジルベルトに出会うこと。主人公がジルベルトに恋すること。

突然私は立ちどまった、もう動けなかった、あたかも視像が、ただわれわれのまなざしに呼びかけるばかりでなく、もっと深い知覚を要求し、われわれの全存在を手中におさめてしまうときのように。赤茶けたブロンドの女の子*1が一人散歩がえりのような格好で、園芸用のシャベルを手にし、ばら色のそばかすがちらばった顔をあげて、私たちを見つめているのであった。

祖父が、「あのかわいそうなスワンに、連中はなんてひどい役を演じさせているのだろう、あの女はひとりで自分のシャルリュスと家に残るために、スワンをそとに追いやっているのだ、だってあれは私に見おぼえがあるあの男だからね! それにあの小さな娘までが、あんな恥さらし巻きこまれてしまって!」とつぶやいていたそのあいだ・・・・

*1:ジルベルト