5.4.バランスのとれたシステムの境界(1):Quantitative System Performance

5.3.3.修正解析の例」の続きです。(目次はこちら

5.4.バランスのとれたシステムの境界


 漸近的境界で必要とされる以上の適度な計算量で、よりきびしい境界を得ることが出来る。これらの境界は、全てのセンターでの処理要求時間が同じである、つまり、D_1=D_2=D_3=...=D_k、という意味で「バランスのとれた」システムに基づいているので、バランスのとれたシステムの境界と呼ばれている。図5.7aと5.7bはバッチ(5.7a)と端末(5.7b)の作業負荷について(漸近的境界と一緒に書かれた)バランスのとれたシステムの境界の一般的な形を示している。
 まずバランスのとれたシステムの若干の特殊な性質をはっきりさせる。次に、これらの性質が漸近的境界を補足し、システムの振舞についてのより精密な知識をもたらす性能の境界を決定するのに、どのように利用出来るのかを示す。バランスのとれたシステムの境界の導出はバッチ作業負荷についてのみ示される。読者は演習5で端末作業負荷についての導出を学習することを頼まれる。バッチと端末とトランザクションの作業負荷のそれぞれについての境界は、表5.2に与えられる。

  • 図5.7a 性能についてのバランスのとれたシステムの境界
  • 図5.7b 性能についてのバランスのとれたシステムの境界


 バランスのとれたシステムの解析は第6章で提示されるテクニックの特殊な場合である。正式には、この解析はモデル化されたシステムについてさまざまな仮定がなされることを要求する。(これらの仮定は第6章で記述される。) これは漸近的境界と大きく違lっている点であり、漸近的境界では、センターでの客の処理要求時間が他の客がシステム内に現在いくつあるかに、あるいはどのセンターにそれらが位置するかに依存しないということを要求するだけである。

5.4.バランスのとれたシステムの境界(2)」に続きます。