（妄想）１０月の星座
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- ペルセウスがまだ低いから来月にしましょう。今月はいるか座を取り上げます。これはヘロドトスが「歴史」で取り上げている話、あのイルカは竪琴（キタラ）弾きのアリオンを救って陸まで送り届けたイルカよ。
- これはもっと時代が下がって紀元前７世紀の人よ。レスボス島のメテュムナの人。当時のギリシア世界で比類のない竪琴（キタラ）弾きで、その名声はイタリアのタレントにまで届いていました。
- その通りです。
- で、その人にどんなことがあってこのイルカが救ったのですか？
- アリオンがイタリアのタレント、当時のタラスで公演を行って多額のお金を儲けてコリントスに帰ろうとした時の話です。
- コリントスに帰るって、メテュムナの人ではなかったのですか？
- その頃はコリントスを拠点にしていたからよ。その時のこと、アリオンはコリントスの人間を誰よりも信用していたので、コリントス人の船を雇ってコリントスに向かいました。ところがこれがとんでもない人たちで、船が海上に出てから彼らはアリオンのお金を奪おうとたくらんだのです。これを悟ったアリオンは「金をやるから命だけは助けてくれ」と言ったが船乗り達は承知しません。アリオンに海に飛び込め、と強要します。どうにもこうにもならなくなったアリオンは最後の頼みとして「せめて死ぬ前に、自分が演奏するときの完全な衣装を着て、後甲板に立って歌うのを見逃してほしい。歌い終わったならば、望み通り海に飛び込むから」と言います。船乗り達は世界最高の歌手の歌を聞けるかと思うとうれしくなってそれを許しました。アリオンは完全な衣装を着け竪琴を手にとると後甲板に立って高い調子の祭礼の歌を歌い切り、それから覚悟を決めて海に飛び込みました。船はそのまま行ってしまいました。ですが、一頭のイルカがアリオンを乗せて陸まで運んでいったのでした。そのイルカが讃えられて星座になったという話。
- その悪い船員たちはどうなったんですか？
- アリオンは事の顛末をその頃のコリントスの支配者ペリアンドロスに告げたので、ペリアンドロスが彼らを逮捕しました。それからどうなったかは知りません。
- あとこうま座について少しふれておきます。小さい星座だから子馬となっているけれど、本当は大きな馬です。
- どういうことです？
- 星座になっているのは馬の頭の部分だけなの。馬の胴体はペガススに隠れて見えないことになっているの。
- そんなあ
- あれはディオスクーロイ（ふたご座になった）の馬よ。
- （彼女の顔をジッと見つめて）うお座のことは、今日は話さないのですか？
- （とぼけて）うお座の何を？
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（後刻、僕は彼女の言葉を復唱している。）
- 「天地の諸プランが定められたとき」
- 「天地の諸プランが定められたとき」
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