7.5.理論的基礎:Quantitative System Performance
「7.4.3.ミックスド・モデルの解法」の続きです。(目次はこちら)
7.5.理論的基礎
単一クラス・モデルの場合と同様に、MVA手続きによって得られる解がモデルの正確な性能尺度を与えることの数学的な証明にはモデルの振舞についての若干の仮定が必要である。1つだけの例外を除いて、複数クラスの場合に要求される諸仮定は単一クラスの場合に要求される諸仮定の素直な拡張である。
- サービスセンター・フロー・バランス:各々のセンターでの各々のクラスの到着数はそこでのそのクラスの完了数に等しい。
- 1ステップ動作:一度に1つの客だけが動く(サービスセンターに到着する、あるいは、サービスセンターから出発する)ことが出来る。
- ルーティング均一性:客のルーティング・パターンを含む客の振舞のより詳細なありようが与えられた場合、全てのについて、もしセンターを出発するクラスの客が直接センターに進む回数の割合がにのみ依存し、任意のセンターでの現在の客やクラスの数に独立であれば、ルーティング均一性が満足されている。
- デバイス均一性:これは、単一クラスの場合からのその拡張がけっして素直ではない1つの仮定である。単一クラスの場合、我々は、あるセンターからのジョブの完了のレートがそのセンターでのジョブの数によって任意の仕方で変化するのを許していた(そのレートはネットワーク内部の客の数や配置に依存することはならなかったが)。複数クラスの場合、個体数の関数として完了レートの完全に任意の変化を許さない。特に、がセンターでの客の総数であるとし、がそこでのクラス客の数であるとし、がそれらの待ち行列長を持つセンターでのクラス客の完了レートであるとしよう。デバイス均一性は全てのとについて以下の場合に満足される。
- ただしはとが固定された場合の正の定数である。この仮定は第8章でさらに検討される。
- 均一な外部到着:個々のクラスの客の到着レートはシステム内に現在いる客の数やクラスやそれらの客の配置と独立である。
これらの仮定はモデルが分離可能であるために(よって効率的に評価されるのに)充分であるが、今まで示してきた解法にはもう一つの制約が必要である。
- 処理時間均一性:クラス客のセンターでの完了レートかける、での客の総数割るでのクラス客の数が全ての固定されたとについて一定である(つまり全てのについての場合)。
この最後の仮定は、全てのサービスセンターは負荷独立であることを保障しており、負荷独立とは処理レートがデバイスでの待ち行列の現在状態と独立であることをいう。処理レートがその待ち行列長に依存する負荷依存サービスセンターを用いて若干より複雑なモデルを構築することが出来る。これらは第8章で検討される。