8.5.階層的モデル化の適用:Quantitative System Performance

8.4.高レベル・モデルの求解」の続きです。(目次はこちら

8.5.階層的モデル化の適用


 ここまで我々は分離可能待ち行列ネットワーク・モデルに関係してきた。一般のネットワークに比べての分離可能ネットワークの主要な利点はその解が非常に迅速に得られることである。しかし分離可能性のための条件は、時々不満足な精度のモデルをもたらしかねない若干の制限を課す。そのような場合にとることの出来る3つの方法がある。1つは、システムの性能の見積もりを得るために(必要なパラメータを得るためにたぶん若干の繰り返しを伴って)多くの分離可能ネットワークの解を組み合わせることである。2番目は非分離可能モデルを作成することである。次に近似性能尺度を得るためにモデルの非分離可能側面を反映したMVA解アルゴリズムの修正が用いられる。(よって、我々は「正確な」モデルを持つが近似解析法を持つ。) これらの方法の両方がこの本のパートIIIで用いられる。最後の方法は非分離可能待ち行列ネットワーク・モデルとそのモデルの厳密な解を生みだす解析手法を用いることである。この精度向上の代価は、その解が膨大な量の計算を要求するということである。
 このセクションでは、非分離可能待ち行列ネットワーク・モデルを評価するコストを下げるために階層的モデル化を用いることを検討する。我々の観点は、特定のコンピュータ・システムの特性を表現する必要性のために非分離可能待ち行列ネットワーク・モデルが要求されると我々がすでに決心し、このモデルを評価するために実行可能な手段を探している、というものである。総体の賢明な選択によって、多数の非分離可能モデルがサービスセンターのさまざまなサブシステムを単一のFESCに置き換えることによって、ずっと小さなモデルに置き換えることが出来る。この(やはり非分離可能な)簡約されたモデルは非分離可能モデルのための正確であるが計算負荷の大きい解法のひとつを用いて評価することが可能である。よって、コンピュータ・システムの非常に一般的な特徴の明示的な表現を可能にし、なおも実際的であるのに充分なくらい効率的な近似解法を我々は持っている。
 次の2つのサクセクションでは1つは解析的なもうひとつはシミュレーションの、2つの特定の一般解法を調査する。