「メディチ家の人びと」を読みました。

ここ数日、メディチ家の人びと

を読んでいました。以下は読書メモです。

  • 2.大ロレンツォ
    • コシモ・デ・メディチの孫、大ロレンツォが20歳でフィレンツェ共和国の元首に選ばれた。彼の弟ジュリアーノはその武勇と優雅さでフィレンツェの子女の憧れの的であった。彼と、フィレンツェの華と謳われたシモネッタ・カッターネオの愛は、フィレンツェ人の共感を得ていた。ロレンツォ自身も詩人として知られ、さらにプラトン・アカデミーの有力なメンバーでもあった。彼はそうでありながら厳格な支配者でもあった。「フィレンツェに生きるものは、支配するすべを知らなければならぬ」とは、彼の言である。
  • 3.パッツィ家の陰謀
    • 大ロレンツォは反対する党派をたくみに懐柔するが人望の高いトマソ・ソデリーニと野心家のフランチェスコ・デ・パッツィの2人は懐柔出来ない。それでもソデリーニは苦心の末、懐柔出来た。フランチェスコ・デ・パッツィは、フィレンツェ征服を狙う法王シスト4世と結びつき、そのバックアップを受けて他の反メディチ派を引き入れて、ロレンツォに対する陰謀をたくらんだ。
  • 4.大寺院の惨劇
    • 陰謀家たちは、ロレンツォとジュリアーノの兄弟の暗殺を狙っていた。ラファエッロ枢機卿なる少年枢機卿フィレンツェに表敬訪問し、ロレンツォをはじめとするフィレンツェ共和国政府は数日間の祝宴を張るが、この訪問は陰謀家たちがロレンツォに近づく機会を作るために計画されたものだった。ドゥオモ(大寺院)でのミサの最中に暗殺は起こった。ジュリアーノは殺されるがロレンツォは逃れる。暗殺を知った民衆は圧倒的にメディチ支持であった。暗殺者たちの多くは暴徒と化した群集に殺されてしまう。殺されなかった者もほとんど逮捕されて処刑された。関係者への処罰は峻厳であった。
  • 5.ロレンツォの死、不運のピエロ
  • 7.ロレンザッチオの悲劇
    • 法王クレメンテ7世と神聖ローマ皇帝カール5世の和睦がなり、フィレンツェはカール5世の影響下に公国になり、アレッサンドロが大公になることが決定される。フィレンツェはこの決定に反対するが皇帝軍に攻撃され降伏した。ここにフィレンツェ共和国は崩壊しフィレンツェ公国が成立する。大公に就任したアレッサンドロは暴君であった。アレッサンドロに対抗する人びとがローマのイッポリュートのまわりに結集するが、イッポリュートは毒殺されてしまう。ロレンザッチオはメディチ家の分家の出であったがアレッサンドロの放蕩を助けて彼に取り入った。しかしやがて彼はアレッサンドロを暗殺して逃走した。
  • 9.幼ない恋の悲劇
    • コシモ1世は最愛の長女マリーアが、自分に仕える少年マラテスタと抱擁しているのを見て激昂する。
      • マリーアは泣きながら、父の足もとに身を投げて、恋人の命乞いをした。両親の叱責は自分にむけられるべきもので、マラテスタの身におよばないように哀願した。
      • このときのコシモのような父親の心理は、ほとんど想像を絶している。彼は激昂して、「お前はローマの父の仕置きをうけるのだ」といい放つと、剣をとって、マリーアを引き据え、その心臓部に剣を刺した。もはや常軌を逸した乱心であった。悲鳴をあげた娘の胸もとから剣を引きぬくと、手もとを返して、少年に斬りつけた。少年は危うく身を躱したが、愛するマリーアの死体のうえに折り重なって卒倒した。
  • 10.アベルとカイン
    • コシモ1世と息子たちの狩。そこで息子の1人ガルツィアは兄ジョヴァンニのからかいの言葉に激昂し、思わず山刀で兄を刺し殺してしまう。それを知ったコシモ1世は
      • ガルツィアは喪心状態で、地面にすわりこんでいた。
      • コシモは神に祈った。ほとんど失神しているガルツィアに寄ると、その頭上で十字を切った。そして声をかけた。
      • 「わが家にカインはいらぬ」
      • つぎの瞬間、剣をふるってガルツィアの心臓を刺した。
  • 11.ルクレツィアの死
    • コシモ1世の次女ルクレツィアはフェラーラのアルフォンソ2世と結婚した。もちろん政略結婚であり、夫婦仲は悪かった。敵意に満ちたフェラーラの宮廷でルクレツィアは衰弱し、たった16歳で死んでしまう。
  • 12.もう一人のエレオオーラ
    • コシモ1世は妃エレオノーラの姪にあたる少女エレオノーラを引き取って養育した。コシモ1世は放蕩息子ピエロにエレオノーラとの結婚を命じる。しかし、エレオノーラはすでに妊娠していてその子の父親はコシモ1世自身であった。これを口実に益々放蕩に走るピエロ。そんな境遇のエレオノーラはある時初めて、本当の恋を知る。しかし、この恋はコシモ1世の長男フランツェスコ摂政に知られることになり、相手の男は処刑された。ピエロはエレオノーラを殺した。
  • 13.スタンダールへの挨拶
    • コシモ1世の三女イザベッラ・ローモラが政略結婚でパオロ・ジョルダーノ・オルシーニと結婚した。パオロとコシモ1世のちょっとした仲違いから2人の結婚生活は悲劇となり、2人は外に奔放な恋を求める。最後にパオロはイザベッラの仲を修復しようと見せかけてイザベッラを殺す。
  • 14.絶世の美女ビアンカ
    • コシモ1世の長男フランチェスコの側室となったヴェネツィアの美女ビアンカ=カッペロ。コシモ1世が死んでフランチェスコが大公になってのちのある日、彼女の寝所の窓の下にかつての恋人だったピエトロの血まみれの死体が発見された。同じ頃、ピエトロのその当時の恋人だったマドンナ・カッサンドラも自分の館で血まみれになって殺されているのが発見された。フランチェスコの弟フェルディナンド枢機卿は、ビアンカが犯人だと吹聴した。彼は以前、ビアンカに迫って拒絶されたことを屈辱に思っていた。
  • 15.枢機卿の陰謀
    • フェルディナンド枢機卿が兄であるフランチェスコ大公と大公妃ビアンカ(ジョヴァンナ大公妃死去後、大公妃に就任)を毒殺。自ら大公位を継ぐ。

年代記はつたえている。
「このご仁、あらゆる美徳を欠いていながら、みごとな統治能力をもち、人間らしい高貴さをもたずに、ひたすら誇りを抱いていた」と。

  • 16.ペレグリーナの密通
    • 大公妃ビアンカとその前の恋人ピエトロとの間の娘ペレグリーナはフランチェスコ大公の宮廷で成長し、やがてペンティヴォーリオ伯の妻となるが、結婚生活は破綻し、卑劣なペンティヴォーリオの罠にかかって殺される。
  • 17.美少女の運命
    • コシモ1世の側近ルイジ・ディ・メッセル・マーゾ・デッリ・アルビッツィにはエレオノーラという名の美しい娘がいた。コシモ1世はそれに目をつけ、ルイジも自分の一門の栄達を期待してエレオノーラをコシモ1世の側室に出す。このことでコシモ1世はすでに実権を握っていた息子フランチェスコ大公に攻撃され、父子は険悪な仲になる。やがてエレオノオーラはコシモ1世の子を産む。最初は女の子だったが、次に男の子を産む。しかし、その頃からコシモのエレオノーラへの愛情は冷める。法王ピオ4世がエレオノーラを離別すればトスカーナ大公国の創設を認めると言ってきたからだ。これはエレオノーラの息子に大公位を奪われる可能性をおそれたフランチェスコ大公の差し金だった。念願のトスカーナ大公国のためにコシモはエレオノーラを捨てる。そして彼にはすでに新たな興味の対象たる美女カーミラがいたのだった。エレオノーラは最終的には修道院に幽閉されてしまう。エレオノーラはメディチ家の人間に忘れられたまま90歳ちかくまで修道院で過ごして死んだ。
  • 18.カーミラの青春
    • エレオノーラの後にコシモ1世の愛人になったカーミラは、コシモ1世の死後、フランチェスコ大公によって修道院に幽閉される。しかし、その前に彼女はフランチェスコに敵対するフランチェスコの弟フェルディナンド枢機卿とねんごろになっていた。フランチェスコがフェルディナンドに暗殺され、フェルディナンドがトスカーナ大公になると、カーミラは幽閉を解かれる。彼女はフェルディナンドの相談役となり、自分を迫害したフランチェスコに連なる人々に復讐を開始した。やがてカーミラは精神に異常をきたし、43歳で死亡する。