8.6.まとめ:Quantitative System Performance

8.5.2.ハイブリッド・モデル化(2)」の続きです。(目次はこちら

8.6.まとめ


 この章の主要なコンセプトは階層的分解と、1つのモデルを多くのより小さいサブモデルに分解する過程と、次にその各々が分離された状態で解析出来るということである。元のモデルの解は、サブモデルの解を組み合わせることで形成される。
 サブモデルはフロー等価サービスセンターを用いて組合せされる。FESCは、それが表すサブモデルの平均アウトプット・レートをその客個体数の関数としてモデル化することでそのサブモデルの振る舞いを模倣する。よってFESCはモデル内では負荷依存サービスセンターとして表現される。
 FESCのアウトプット・レートは多くの方法で得ることが出来るが、これらのうち一番重要なものはサブモデルの待ち行列ネットワーク・モデルとしての表現であり、それは平均値解析の1回の適用で解くことが出来る。この手法が適用可能なところでは、それは興味のある全ての個体数について全てのアウトプット・レートを生み出し、作成されたFESCが、それを組み込んだモデルを効率的に解くことを可能にする解析的に良い性質を持つことを保証する。しかし若干の場合、低レベル・モデルを解くためのこの方法は適切ではない。(例えば、低レベル・モデルのパラメータ値は客個体数に依存するかもしれない。) これらのモデルについてFESCをパラメータで特徴づけるために一般的に用いられる負荷依存レートは効率的に解析可能なより高いレベルのモデルをもたらさない。我々はこの問題をこの本のパートIIIで扱い、その時には我々はコンピュータ・システムの徐々に洗練さを増したモデルを解析する際のツールとしてFESCを使用する。
 階層的モデル化の重要な特定の使用法は非分離可能待ち行列ネットワークの近似解を効率的に求めることである。これらのモデルを解く2つの重要な方法がある。すなわち、大域バランスとシミュレーションである。両方の手法とも、非常に小さなモデル以外の全てについて法外な計算量を要求する可能性がある。よってこれらの手法を使用するために(よってそれらが可能にするモデル化構図を使用するために)モデル規模を制限しなければならない。コンピュータ・システムをモデル化する際に自然に発生する大規模なモデルはフロー等価サービスセンターを用いて扱い易い規模のモデルに縮小出来るので、この点で階層的モデル化は役に立つ。
 この本のパートIIIで我々は性能モデル内で表現されなければならないコンピュータ・システムの多くの特定のコンポーネントを調査する。多くの場合我々は分離可能ネットワークを用いて直接モデル化出来ない、コンピュータ・システムの特徴に直面する。階層的モデル化とフロー等価サーバはこれらの場合の多くにおいてモデルを成功させるキーである。

8.7.参考文献」に続きます。