9.2.既知の平均マルチプログラミング・レベルを持つシステム(2):Quantitative System Performance
「9.2.既知の平均マルチプログラミング・レベルを持つシステム(1)」の続きです。(目次はこちら)
ここに全てバッチ・タイプである3つの区別可能な作業負荷を持つシステムのベンチマークの間に収集された実際のデータに基づく例がある。表9.1に示すように3つの作業負荷のマルチプログラミング・レベルはベンチマークを3つの期間に区切るようにして変化した。これらの期間は表の初めの3行で記述され、それは期間と期間の間の推移が発生した時の経過時間(単位、秒)と個々の期間の長さ(やはり秒)と個々の期間による総観察間隔の割合を示している。
待ち行列ネットワーク・モデルのパラメータの値を決めるために、我々は表9.1に示すように負荷強度だけでなく処理要求時間も必要である。これらの処理要求時間は、ベンチマークの間に採集された測定データから計算されたが、表9.2に示される。まずベンチマークの3つの期間に対応するマルチプログラミング・レベルの3つの組を用いて、我々が3回見積もるこのシステムの3クラス・モデルを考察しよう。その結果は表9.3に示される。
代替案は、個々の作業負荷について平均マルチプログラミング・レベルを用いて、同じ3クラスモデルを1回見積もることである。表9.4は測定データと、平均マルチプログラミング・レベルを用いたモデル、3つの期間を表すモデルを比較している。まとめのコメントを2つ。最初のは技術的なもので、2番目は哲学的なものである。
- 他の文脈(例えば第4章)で見てきたように、平均応答時間は平均スループット、待ち行列、稼動率とは異なる、より明らかでないやり方で計算されなければならない。これらの後者の数量は各々の期間の相対的長さでその期間での性能測定値を重み付けすることで得られる。
- 平均応答時間は、これとは対照的に、各々の期間での性能測定値をその期間に完了したジョブの相対的な数で重み付けすることによって得られる。
- 我々は待ち行列ネットワーク・モデル化の際に、(データの収集と解析の両方における)労力の顕著な増加が精度の少しの増加しか生み出さないことを、しばしば観察する。これはたぶんこの例が示す最も重要なポイントである。
「9.3.メモリ制約」に続きます。