日の出、再生

昨日見つけた

は、古代エジプト神話―宗教思想、に関するすばらしい解説のサイトでした。私はそれを読んですっかり古代エジプトの夢想に没入してしまいました。


このサイトのテーマは、下に示す絵を解釈することです。

小橋氏はこう書かれています。

アニのパピルス:第十五章 ラー賛歌の挿入画
 エジプトの文芸文化の中には、とても印象的でありながらも、一体何を表現しているのか、皆目検討もつかない作品が多く存在するようである。その代表的な作品が上のビネット(挿入画)であろう。
 石上玄一郎氏は「エジプトの死者の書」の中で言及されておられるものの、何を意味しているかについては語っておられない。何故なら、誰一人として、その意味を明確にすることに成功していないからである。楕円の太陽と、それを持ち上げる腕。生命の象徴であるアンク。その下には、オシリスの背骨と言われているジェド柱。それらの象徴群に対峙する姉妹、イシスとネフティス女神。彼女たちはオシリス神の復活を祈願し、それに貢献した女神である。恰もイエスの死と復活に立ち会ったマグダナのマリアのような存在である。

ところで「アニのパピルス」というのはアニという名前の人のミイラに添えられていたパピルスであって、いわゆる「死者の書」の一種です。

小橋氏はさまざまな研究成果を参照しながら解釈を進め、最後に、この絵は、東の地平線での日の出の様子を表したものであり、それは同時に太陽の再生を意味し、さらにそれは太陽に同化したアニの魂が再生して神々の住む天界へと向かうさまを表している、と結論づけます。

この肉体はオシリスと同一視されてオシリス・アニと呼ばれた。その名を授けられた事により、イシス・ネフティスの再生祈願の魔術を授かる権利を得るのである。この場所は、東天の山の谷底であり、未だ死者の国に属している。だが、エジプト人のイメージでは、胎児がまさに産み落とされる母体内と認識されていた。生まれ出ようとするオシリス・アニの赴く先は、ラー神が天がける神々の国であるが、その通過には潔白と身分を証明してくれるパスポートであるアンクが必要であり、このように誇示されることにより、通過儀礼の成功が保証されるのである。今や、天をも持ち上げるシューの両腕は、太陽神ラーと融合したアニの肉体を、神々の国へ押し出し安産を促進しているのである。天蓋であるヌト女神は、「母ヌトは、その両腕を伸ばし、挨拶をされる」事を実現し、今すぐ産もうとされている。この黎明の瞬間に立ち会う狒々達は、オシリス・アニが元気よく「産声」をあげるようにと、産声の真似をして誕生を祝福しているのである。このようなビネットの呪術的効果により、オシリス・アニは来世に迎えられ、再生するのである!!


古代エジプトの神々に興味のある人ならば「おお!」と言いそうな迫力のある解釈です。私は(1)オシリス神話とラー神話がこの絵の中に合体されていること、(2)それが死者の再生の秘儀につながっていること、に感銘を受けました。ああ、でも・・・。私がそんなことをわめいても、古代エジプトに興味のない人から見たら、単にオタクのたわごとと思われてしまいますね。オシリスって何? イシスって? ネフティスって? ラー? アンク? シュー? ヌト? 分からない単語だらけじゃん、って思われるでしょうね。ですから、そこは解説しなければいけないのですが・・・・。そろそろ私の電池が切れそうなので、別の日に試みることにします。