古代エジプト

フランソワ・ドマ著「エジプトの神々」を読む(6)

オシリスは大地の神ゲブを父として、天空の女神ヌゥトを母として、生まれました。さて、古代エジプトの暦は一年を365日としていましたが、それは30日からなる月を12ヶ月数え、それに残りの5日を足して出来た暦でした。この残りの5日に、天空の女神ヌゥトは1…

フランソワ・ドマ著「エジプトの神々」を読む(5)

前回のエントリの最後の引用で「レエ(=ラー)はみずからの守護のためコブラのようにかの女(=ハトホル、太陽の目)を額につける。」というくだりがありましたが、これは要するに左の写真にあるような額の飾りのことを言っています。このコブラはウラエウ…

フランソワ・ドマ著「エジプトの神々」を読む(4)

引用を続けます。 アヌゥキスは瀑布近辺の中心地としては最大のセヘル島を独占していた。この女神は、その高い羽毛の被りものがよく物語るとおり、まぎれもないアフリカ的性格をもっていた。しかし、これをサティスのようにエジプト化して、南の国にひきこも…

フランソワ・ドマ著「エジプトの神々」を読む(3)

Wikipediaにエレファンティネ島のクヌゥム神殿の遺跡の写真がありました。 上陸してみましょう。 残念ながら、神殿はほとんど崩れ落ちてしまっています。 ナイル川の水源としてのクヌゥム神 古代のエジプトの神官たちは、エレファンティネにナイル川の水源が…

フランソワ・ドマ著「エジプトの神々」を読む(2)

さて、古代のエジプトが上エジプトと下エジプトに二分されることをお話しました。この本「エジプトの神々」では、上エジプトから神殿の巡礼の旅を始めています。その出発点となるのは「エレファンティネ」というナイル川の中にある島です。 だから、昔のやり…

フランソワ・ドマ著「エジプトの神々」を読む(1)

文庫クセジュの「エジプトの神々」エジプトの神々 (文庫クセジュ)作者: フランソワ・ドマ,大島清次出版社/メーカー: 白水社発売日: 1966/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見るは、私にとって大切な本のひとつです。…

イシスの嘆きとナイル河の増水

イシスの涙。イシスの血。イシスの悲嘆の言葉。魔力のこもった言葉。 彼女の夫は謀殺された。彼女の夫はエジプトの王、善政をしき、人々に文明を教えた慈悲深き王、オシリス。夫は実の弟のたくらみによって謀殺された。そのことを知ったからにはイシスは悲嘆…

エジプトのフィラエ神殿

今日も昨日に続いて世迷言を・・・・・エジプトのナイル川の上流、フィラエ島にあるイシス神殿にあるナイルの神ハピの図像 についてリュシ・ラミの「エジプトの神秘」 エジプトの神秘 -甦る古代の叡智- イメージの博物誌 22作者: リュシラミ,Lucie Lamy,田中…

「はげたかとねこ」について(補足)

以前のエントリ「「はげたかとねこ」について」で中途半端になっていたことの補足です。 世界の民話〈7〉アフリカ (1977年)作者: 小沢俊夫出版社/メーカー: ぎょうせい発売日: 1977/02メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見る を図書館から借りて、結…

「はげたかとねこ」について

この話は確か、ぎょうせい、という出版社の「世界の民話」という本の中で見つけたように思います。 http://honmushi.kufs.ac.jp/FormMz/MZS005.aspx?SHOSEKINO=11542今、手元にないので確かめることが出来ないのですが・・・・。ネットを検索してもこの話に…

思い出すこと

最近、タイトルの工場統計力学についてはなかなか考察をアップすることが出来ずにおります。いろいろ事情があるのですが、考察が壁にぶちあったっていることが最大の理由です。そこで、今日もまったく関係のない話です。 まだ東ドイツという国があった頃です…

古代エジプトの魔術

古代エジプトの魔術―生と死の秘儀 (mind books)作者: E.A.ウォーリス・バッジ,石上玄一郎,加藤冨貴子出版社/メーカー: 平河出版社発売日: 1982/05メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 3回この商品を含むブログを見るもう完全に怪しげなタイトルの本で、この…

エジプトと聖書(4)

エジプトと聖書 聖書の考古学 (5)作者: ピエール・モンテ出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1982/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 「エジプトと聖書(3)」の続きです。 ギリシア人ヘロドトスが書き残したのは次のような話です。 あ…

エジプトと聖書(3)

エジプトと聖書 聖書の考古学 (5)作者: ピエール・モンテ出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1982/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 「エジプトと聖書(2)」の続きです。 エジプト語によるいかなる資料も、天使により阻止された、7…

エジプトと聖書(2)

「エジプトと聖書」の続きです。エジプトと聖書 聖書の考古学 (5)作者: ピエール・モンテ出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1982/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る前回のあとエレミアについて調べたところ、エレミアはバビロン捕囚の…

エジプトと聖書

エジプトと聖書 聖書の考古学 (5)作者: ピエール・モンテ出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1982/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 「あなたはナイルの水を飲もうとして、エジプトへ行くのは何のためか」とさらにエレミヤ二・一八は語…

マニアックなやり取り

今年の1月10日に、小橋隆宗さんという方の、古代エジプトに関するウェブサイトを発見してそのことを「日の出、再生」に書いたのですが、一昨日、そのご本人からコメントを頂きました。 小橋さんのコメント 驚くとともに、ちょっとうれしかったです。マニ…

古代エジプトとタロット

タロットカードの起源を古代エジプトに求めるのは考古学的には根拠がないらしいですが、私は勝手な妄想で「XVII 星」のカードの起源をエジプトはフィラエの神殿の壁画にあるナイル川の神ハピの浮き彫りに求めました。(タロットカードの17番、星参照) タ…

エジプト熱、発病中

あいかわらず古代エジプトぼけ、です。 ネットをさまよっていると私なんか、ほんの初学者ですね。のめり込んじゃっている人がいっぱいいます。外国の古代エジプト関連サイトを見て勉強している人も多そうですね。あの象形文字(ヒエログリフ)も読める人がい…

アニのパピルス――復活の書

1月10日に ジェト柱とアンクの象徴について――小橋 隆宗氏 を見つけて以来、私の古代エジプト熱はさめません。心の中がざわざわしているのを感じます。ネットをさまよっているうちにアニのパピルスの写真を見つけました。横にずずずーーーーーーーーーーー…

狒々について思い出すこと

古代エジプトの神界と狒々の関係について思い出すことは、深層心理学者ユングの自伝に出てくる彼のウガンダでの体験の記述です。 この地方の日の出は、日々新たに私を圧倒する出来事であった。(中略) 私のいる場所の近くに大きな狒々の住む高い懸崖があっ…

ちょっとだけ説明

上のエントリーに関してちょっとだけ説明を・・・・・。 イシス女神 ネフティス女神 ふたりは姉妹です。 ふたりが乗っている台座は「金(黄金)」を表す象形文字です。これは、ふたりが金のように永遠不変であることを示しているのでしょう。 アンク。 生命…

日の出、再生

昨日見つけた ジェト柱とアンクの象徴について――小橋 隆宗氏 は、古代エジプト神話―宗教思想、に関するすばらしい解説のサイトでした。私はそれを読んですっかり古代エジプトの夢想に没入してしまいました。 このサイトのテーマは、下に示す絵を解釈すること…

腰を痛めてしまった・・・・イテテッ!

けさ、朝食後に立ち上がろうとしたら腰に「イタタッ」と来て、腰を痛めてしまいました。10年ぐらい前にコタツを一人で移動させようとして腰痛になって以来、潜在的な腰痛持ちではありました。ですから、重い物を持ち上げる際は気をつけていたのですが・・…

(妄想)6月の星座

6月は晴れている日が少ないわね。せっかくの夏至の夜がだいなし・・・・。 おとめ座を正義の女神アストライアに充てる人々もいます。隣のてんびん座はアストライアの持っている天秤を表わし、それは正義の象徴です。アストライアは金の時代、銀の時代には地…

パイドロス

パイドロス (岩波文庫)作者: プラトン,藤沢令夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1967/01/16メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 36回この商品を含むブログ (49件) を見る 今日は・・・・パイドロスかあ・・・・。忘れたなあ。 これを買ったのは、エジプト神…

古代エジプト人とネコ

3月6日のエントリー「うれしいマニアックなコメント」は、コメントを読んで始まった自分の連想の連鎖に、自分の筆が追いつかず、わけの分からないものになってしまいました。なぜ、最後にネコぼけの話が出てくるのか、読んでいる人には分からないですよね…

うれしいマニアックなコメント

私が以前、紹介したこの本エジプトの神々 (文庫クセジュ)作者: フランソワ・ドマ,大島清次出版社/メーカー: 白水社発売日: 1966/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見るについて、すごくマニアックなうれしいコメント…

ナイルの増水

一昨日、昨日の連想に従って今日も書こう。 一昨日の最後はタロットカードの「星」についての暗示。 昨日はその星がナイルの増水に関係することについて。 今日は、ナイルを讃えよう。 一 ナイルの礼拝 おおナイルよ。 この地よりいで、エジプトを生かさんが…

タロットカードの17番、星

占いに使われるタロットカードの17番目の絵札(大アルカナ)は「星」です。 タロットカードの図柄の起源は謎につつまれていますが、私はこの「星」のカードの絵に限って言えば、古代エジプトの神話を想い起させます。これは、 エジプトの神秘 -甦る古代の…