ファウスト ゲーテ
- 作者: ゲーテ,高橋義孝
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1967/11/28
- メディア: 文庫
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- 作者: ゲーテ,高橋義孝
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1968/02/27
- メディア: 文庫
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この「私の本棚」のカテゴリーが去年の11月から止まったのは、私の本棚で次に並んでいたのが「ファウスト」でして、どうも私にはこのファウストのよさが分からないので、書くのを躊躇したからでした。それでももう2ヶ月にもなるから、変なことになろうと書いて次に進むべきではないか、と、けさ、考えたわけです。(でも、次も、コメントしづらい本です。「石原莞爾」です・・・・。)
世界的な名著ということになっているファウストですが、どうも私にはこのファウストという主人公が気に入らない。特に第1部(前編)のファウストは恋人のお母さんは毒殺するはお兄さんは剣で刺し殺すは・・・そりゃ故意にではないのだろうが、やっぱり悪魔(メフィストフェレス)の力を使っているんだから、そう物事はうまくいくまいに。そこまで事態が進む前になんとか出来んかったんかね、と思ってしまいます。第2部でもね、あんまりこの主人公に共感しないですね。それに最後になって死んだファウストの魂をメフィストフェレスが地獄に持っていく際に(これがファウストがメフィストフェレスと交わした契約だから、メフィストフェレスはそうするのですが)、天使らを使ってメフィストフェレスからファウストの魂を盗んでいくとは、神様、そりゃズルいんではないの?・・・などと思ってしまいます。
何でこの本を読む気になったかといいますと、ユングの本にファウストの引用がよく出てくるからなのです。それで、これは読んでおかないと引用の意味が分からないぞ、ということで読み始めました。例えば「心理学と錬金術(1)」
- 作者: C・G・ユング,池田紘一,鎌田道生
- 出版社/メーカー: 人文書院
- 発売日: 1976/04/01
- メディア: 単行本
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では、古代ワルプルギスの夜の中のカベイロイの場面が登場します。
そう言えばフロイトもゲーテが好きだったと聞いたことがあるし、手塚治虫も水木しげるもゲーテが好きだったんだよね。やっぱり、私の読み方が悪いのか・・・・。でも、古代ワルプルギスの夜の場面だけは好きですね。
ケイロン
(中略) 神話の女というのはまた別格でな。 詩人が自分に都合のいいように描いてみせるのさ。 大人になることもなければ、歳もとらぬ。 千年万年経ようとも水もしたたるばかりの女振り、 若い時分には誘拐され、年をとっても口説かれる。 つまり詩人は時間に縛られんのだな。それならあの女も歳月に縛られずに済むわけだ。 (中略) この私だって、恋い焦れて、 あの無比の姿を、 偉大で優しく、高貴でなまめかしいあの永遠の 神々にもひとしい女をよみがえらせることのできないわけがあろうか あなたは昔、あの女の姿をごらんになったのですが私は今日見たのです。 艶麗なその美しさ、恋い慕わずにいられようか。 私はもう身も世もないというところなのです。 あの女と一緒になれないのなら、死んでしまいます。
ケイロンねえ君、君は人間だから、そんなに夢中になるのも無理はないが、 霊の眼から見れば、まず以って狂気の沙汰だ。 ところで偶然うまいめぐり合せで君に好都合なことがある。 というのは、わしは毎年、アスクレピオスの娘、 マントのところへちょっと顔を出すことにしている。 (中略) 少しの間あの娘のところにいれば、 薬草の力で君の狂気を完全に治して貰えるにちがいない。治してなど貰いたくないのです。私の精神はしっかりしています。 治して貰ったりしたら、余人同様私も単なる俗人にすぎないでしょう。
(中略)
マントわたくしは動きません。わたくしのまわりを時がめぐって行きます。 そして、このお方はどなたでしょう。
ケイロン胡散くさい今宵の祭が、 渦に捲き込んでこの人をここへ連れてきたのだ。 気でも狂ったのか、あのヘーレナを 手に入れたいというのだ。 そして、どこでどうすればいいのか、それがわからないのだ。 何はともあれアスクレピオスの手にかからねばなるまい。
マント不可能なことを望む人は、わたくし、好きですわ。