建国記念日なので

建国記念日といっても日本の国の出来たのはずっと昔で、その頃のことなど古すぎてモヤモヤしていて実感がない。USAならば明確な独立のイベントがあるのでイメージし易い。日本人にとって建国というのはピンとこないのではないか? などと思っているうちに、最近の読書傾向から満洲国建国のことに思いあたった。満洲国の建国記念日はいつだったんだろう? そう思いながら図書館で見つけた本が「<満洲>の歴史」という本だ。


これによると建国式典は1932年3月9日に挙行された、ということだった。



この本でもうひとつ気になる記述を見つけた。漢民族がいわゆる満洲に大規模な流入が始まった時期についてだが、この本は17世紀としている。

17世紀に始まる漢人満洲移民
 当初、満洲ヌルハチに起源をもつ清朝発祥の地として、満洲旗人の地を保存する考えから、何人も立ち入ることができない封禁の地であった。ところが清朝が北京を都に定め全中国の統治をしはじめると、清朝の軍事力を支えてきた八旗の主力とその家族は中華へ移動し、満洲の空洞化現象が生じはじめた。これを防ぐために清朝は1644年に「土地分給案及開墾補助策」を、49年には「移住民の保甲編入、荒地開墾所有許可令」、53年には「遼東招民開墾例」などの一連の遼東招民開墾政策を実施し、漢人の東北移民を促進した。漢人の東北移民は急速に進行し、開墾奨励政策は1668年に停止されたものの、漢人の移民の勢いは止まらず、その後も自主的な移民が進められ1900年頃には東北の漢人の人口は推定1700万人近くに達したのである(『満洲近代史』)。

この『満洲近代史』というのは、

  • 矢野仁一 『満洲近代史』弘文堂書房、1941年

だそうだ。


ところがこの前読んだ「紫禁城の黄昏 完訳版(上)」

では

 1907年、満洲は行政上の目的のために、初めてシナ本土諸州の方針に従うようになった。そして、その広大な地域への漢人の移民入国制限を最終的に撤廃したのも、ようやくこの頃になってからのことだった。

となっていた。どちらが正しいのだろう。最終的に撤廃されたのは1907年頃だがその頃までにすでに大量の漢民族満洲に住み着いていたということだろうか? そうだとするならば、漢民族満洲の領有を主張するのは説得力があるわけだ。